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解決事例

SNS上における名誉毀損等行為について刑事告訴が受理された事例

事件の概要及び罪名 相手方がSNSに投稿した内容は虚偽であったため、名誉毀損罪及び脅迫罪で刑事告訴を行った。
結果
  • 告訴受理

事案の概要

ご依頼者と相手方は従業員と客という立場であった。相手方は、ご依頼者が勤める店舗に通ううちに、ご依頼者に好意を持つようになり、ご依頼者に何とか振り向いてもらおうと度が過ぎた行動を起こすようになった。

相手方は、ご依頼者から暴行及び脅迫により強制性交の被害を受けたこと、当該被害につき警察に申述したこと、ご依頼者が強制性交罪等で警察から捜査を受けていることなどをSNSに投稿した。

その後、相手方は、ご依頼者に対し、被害を受けたとして慰謝料を請求した。

対応に苦慮したご依頼者は、当事務所に相談するに至った。

 

対応と解決

まず当弁護士は、ご依頼者から、相手方がSNSで挙げている事実の確認を行った。

相手方がSNS上に投稿した内容と行為態様は、ご依頼者の社会的評価を低下させるだけでなく、事実の公共性公益目的も認められないため、ご依頼者に対する名誉の毀損にあたると思料した。また相手方による被害の申述については、事実確認の結果、そもそも強制性交という事実がなく虚偽であるとのことであった。

そこで、名誉毀損罪(刑法230条1項)の他にも脅迫罪(刑法222条)にそれぞれ違反するものとして刑事告訴を行い、受理された。

なお、虚偽告訴罪での告訴については、「虚偽」であるといえるまでの証拠がなかったため、見送った。

弁護士より一言

今回のケースは、複数のSNSにおいて、ご依頼者の名誉を毀損する内容と思料される内容の投稿がなされたケースでした。

今回はご依頼者と相手方は元々顔見知りであったため、当該投稿が誰によるものなのかはある程度予測を立てながら進められましたが、全くの赤の他人による投稿であった場合は、刑事告訴の前に発信者情報開示請求をして投稿者を特定する作業が必要となるケースもあります。

そして、刑事告訴にしろ、発信者情報開示請求にしろ、客観的な証拠はできる限りあった方がいいでしょう。今回のケースでは、両者のSNSでのやり取りや当該投稿のスクリーンショットが証拠の中心となりましたが、時間の経過とともにログの保存期間が経過してログが消去されてしまうこともあります。そのため、名誉毀損等で被害にあった場合は、具体的な内容がわかる資料を保存し、早めに相談することが望ましいです。

資料がある程度揃って、刑事告訴が受理されるためには、具体的な事実を取り上げながら、同定可能性、社会的評価の低下、違法性阻却事由などの観点から法的評価をし、簡潔に、わかりやすく、そして論理的に、被告訴人の行為が犯罪行為であることの主張を展開していきます。

つまり、刑事告訴をするには、告訴状の記載方法や証拠の収集など専門的な知識が必要となります。犯罪被害に遭われた方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

今回のケースのように、投稿された内容を吟味して、名誉毀損等にあたるか、また経緯などをヒアリングして、対応についてアドバイス致します。

 

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