CASES

解決事例

免責不許可事由がある個人破産申立てにおいて、裁量免責が認められ免責許可となった事例

裁量により免責許可決定

事案の概要

ご依頼者は、専門学校に通う学生(成年)でしたが、趣味であるスマホゲームの課金をし過ぎたため、債務額200万円以上を負っていた。アルバイトはしていたものの、返済に充てられるだけの余裕はなく、どうしたらいいのかわからなくなり、やむを得ず当事務所に相談に至った。

※プライバシー保護のため、内容の一部を加工しています。

 

対応と結果

ご相談当時の収入の状況から任意整理での返済は不可能であり、破産手続を選択せざる得ませんでした。

その上で、今回債務が膨らんでしまった原因がゲームの課金ということで、これは免責不許可事由にあたると判断し、ご依頼者には、免責不許可事由にあたること、裁量免責があるが、それは裁判所の裁量で決めることであって、必ずしも免責許可となるわけではないことなど破産手続に関してご説明しました。

ご依頼者から承諾を得られましたので、ご依頼者に協力してもらいながら申立てに向けて着手しました。

結果的に受任から約2か月で申立て、申立てから約1ヶ月で裁量による免責許可決定を得られ、無事に解決しました。

 

弁護士から一言

自己破産の最終的なゴールは、裁判所から免責許可決定を得ることです。免責許可を得られれば、原則として借金の支払義務はなくなります(ただし、税金などは免責されません)。

免責許可決定を得るためには、破産申立てをするにあたって免責不許可事由に該当しないことが前提となります。

免責不許可事由とは、文字通り、免責を許可しない又は許可できない事由があることです。どういった事由が免責不許可となるのかについては、本件のようにゲームの課金の他、ギャンブルに使った借金などです。

破産法上、ゲームの課金は「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」のうち(破産法252条1項4号)、「浪費」に当たると考えられています。

しかし、こうした免責不許可事由に当てはまれば全て免責不許可となるかというと、そうでもありません。

 

 

ただし、裁量免責となるのは、破産手続開始決定に至るまでの経緯や全ての事情を考慮することになっていますので、ケースバイケースでの判断になります(経験上、個人破産では免責許可決定が認められる可能性は高いです。)。

本件もそうですが、原則としてゲームの課金は免責不許可事由にあたりますので、裁判所や破産管財人から厳しい指摘を受けます。大事なのは、債務者が債務が膨らんだ原因が免責不許可事由にあたることを理解しているうえで、どの程度反省しているのか、今後どのようにして生活を立て直していくのか、破産手続に対する真摯な姿勢(例えば、裁判所から資料の提出を求められたときに期限を守って提出しているかなど)など総合的に考慮される点にあります。

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