電車内で寝ている女性客のスカート内を盗撮し現行犯逮捕されたが、被害者は犯行に気付かず寝たまま降車しなかったため、示談交渉が出来なかったケースで不起訴処分を獲得した事例
タイミング | 事件後数日後 |
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事件の概要及び罪名 | 性的姿態撮影等処罰法違反(旧:迷惑防止条例違反)。 ご依頼者は、会社での飲み会の後、電車で帰ろうとしたところ、電車内で自分の正面に座って寝ている女性客(被害者)が大股を開き、下着が見えている姿を見て劣情を催し、下着姿を携帯電話で撮影した。 犯行の様子を見ていた別の乗客によりご依頼者は現行犯逮捕されたが、被害者は犯行に気付かず寝たまま降車せずそのまま電車に乗っていってしまっため、警察も被害者の氏名や連絡先を把握できておらず、ご依頼者は示談を強く希望していたものの、示談交渉が出来なかったケースであった。 |
結果 |
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弁護士から一言
通常、盗撮事件であれば、被害者が警察に被害届を出す際に氏名や住所、連絡先を警察に教えています。
そこで示談交渉を行う場合には、弁護士に委任後、弁護士から警察を通して「代理人弁護士限りで」ということで被害者の連絡先を教えてもらい、示談交渉を開始する場合が多いです。
もっとも、本件では、被害者が犯行に気付かずにそのまま電車に乗っていってしまったために、誰も被害者の氏名や連絡先がわからず、示談交渉自体が出来ないという珍しい案件でした。
盗撮事件では、通常、前科前歴がなく初犯であっても基本的には30万円程度の罰金刑となり、前科がついてしまうことになります。
本件のご依頼者は急にアメリカに出張を命じられることが多く、前科が仮についてしまうと、ビザに代わるビザ免除プログラムであるESTA(エスタ)が取得できなくなってしまう可能性が高く、急にアメリカ出張を命じられた場合、ビザを取得するまでの期間が間に合わず、会社に前科が発覚し、解雇されてしまうリスクがあることを非常にご心配されておりました。
そこで、当職の方から担当検察官と交渉を行い、罰金刑となれば想定される金額である30万円を贖罪寄付(「しょくざいきふ」と読みます。刑事事件を起こした人が、反省の気持ちを表すために弁護士会や各種団体に寄付をすること。寄付金は被害者支援等に使われます。)した寄付証明書及びご依頼者の勤務先における勤務状況やアメリカ出張を過去に命じられた頻度や回数、今後命じられる可能性が高いことを疎明資料で疎明することと引換えに、不起訴としていただけるよう交渉しましたところ、担当検察官の上席の決裁官の承諾も取れましたので、上記資料を提出し、結果、被害者との示談がなされていないにも関わらず、不起訴処分(起訴猶予)を獲得することができました。
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