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パパ活で貸したお金を取り返せるのか?

パパ活問題

過去のコラムでパパ活問題について取り上げ、男性側は、食事やデート程度であれば何ら罪に問われることはありませんが、例えば未成年者を夜間連れまわしたり、未成年者でなくとも同意なく性行為やわいせつな行為をした場合は罪に問われる可能性があることはお伝えしました。

 

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しかし、最近では、パパ活がきっかけと思われる金銭トラブルが原因で重大な事件が起きています。実際、パパ活をめぐる金銭トラブルでは、男性からお金を返せと言われて困っているという女性側からの相談の他に、男性側から女性に渡したお金を取り返したいが何か方法はないかという相談を受けることもしばしばあります。

 

今回、パパ活相手の女性に金銭を渡した場合に、取り返せるか否かを概説いたします。

 

そこで、今回はパパ活にまつわる金銭のトラブルについて、男性側がお金を取り戻す際に注意すべき点などご紹介します。

 

単にお金を貸した場合は?

性行為やわいせつ行為などの対価としてではなく、単に女性にお金を渡した場合、男性はそれを取り返すことができるのでしょうか。

 

相手に返済義務が生じるケースと生じないケースに分けて説明します。なお、返済義務が生じるケースに当てはまるからと言って、必ず返済させることができるかは別問題です。

 

相手の女性に返済義務が生じる主なケース

性行為の対価等ではなく、単にお金を貸した場合

パパ活でのデートや食事の対価として金銭を渡した場合に相手の女性に返済義務はありません。法律上、贈与となるためです。

しかし、例えば、相手の女性から「今月ピンチだから貸してほしい」などと言われて、お金を貸した場合、口頭でのやり取りであっても、消費貸借契約が成立して相手に返済義務が生じます。

ただし、証拠がないと、相手からは、贈与であったとか、性行為の対価であったなどと理由をつけて返済義務が無いので変換しないと反論されることが通常ですので、口頭でのやり取りでは、後々言った言わないの話になります。そのため、借用書やLINE、SMSなどのやり取りから貸し借りであることや性行為の対価ではなかったことを客観的に証明しなければなりません。それに加えて、実際に契約に基づいてその金額のお金が相手に渡されたことの証明も必要です(この点は振込であれば簡単に立証できますが、現金手渡しだと立証困難な場合もあります。)
これらが全て証明されたときに消費貸借契約の存在があったと判断されて、相手に返済義務が生じます。

 

ここで一つ参考判例(東京地判令和元年7月9日)をご紹介します。

事案の内容について、原告(男性)は、パパ活サイト知り合った被告(女性)に対し、合計100万円以上の貸金返還を求めて裁判所に提訴しました。男性側は約2か月の間で100万円以上のお金を貸金として交付したと主張したのに対し、女性側は一緒に食事をした対価、いわゆるパパ活の一環として交付されたものであって、女性側に返金の必要があるという認識はなかったと反論しました。

裁判所は、予め被告から原告に対して返済のためにお金が必要であることを伝えていること、被告本人も受け取った金銭は概ね原告が主張する金額と同一であったことなどを踏まえて、合計100万円以上の金員が原告から女性に交付されたと認定した上で、原告から被告にパパ活の一環として支払われた1回分の金額は、女性が原告以外の男性から支払われた1回分の金額よりも大きく上回る金額であったこと、交付金額がいずれも被告の借金返済などの具体的な金銭需要に応じて原告から交付されたものであって、時には被告から予め必要な金額が伝えられ、原告が事前に準備して交付していること、原告は金銭交付をしつつも、被告に対し、立て替えるやあげたわけではないと貸金である趣旨の発言をしており、被告においても借入れを依頼した事実があり、被告自身も原告からの金銭交付が貸金であることの認識を有していたことをうかがわせるやり取りが存在することなどの事実を踏まえると、合計100万円以上の金銭交付は、パパ活の対価として交付されたものではなく、後に返済を要する貸金として交付されたものというべきであると判示しました。

 

このように、実際の事件においては契約書等が作成されていない場合も多く(むしろその方が多く)、そのような場合にはLINEの会話履歴などの証拠を総合考慮し、当事者間で貸し借りの意図だったのか、贈与の意図だったのかという事実認定が重要な分水嶺となります。

 

騙されてお金を貸した

騙されて金銭を交付した場合は、相手の女性に詐欺罪が成立する可能性が高いので、全額の返済義務が生じます。勿論騙されたことが客観的にわかる証拠が必要になります。手続上、民事の他刑事手続(刑事告訴)も採り得るので、検討してみましょう。

 

相手の女性に返済義務が生じない主なケース

性行為の対価として支払った場合

性行為の対価としてお金を授受することは売春行為ですので、公序良俗に反し無効です。そして、不法(違法)な原因に基づいてなされた給付は不法原因給付として、法律で返還請求ができません。また愛人契約の手当として支払った場合であっても、同様の理由で返還を求める請求権はありません。

 

プレゼントとして支払った場合

デートや食事の対価ではなく、プレゼントやお小遣い、学費や生活費、事業資金の援助として支払った場合には、法律上、贈与契約となります。贈与契約では既に履行されたものに関しては一方的撤回は出来ず、相手の女性には原則として返済義務は生じません。

 

返金を求める場合の対応には注意

自分が支払ったお金は貸金であって、取り返せそうだ。早速相手の女性に返金を求めようとお思いの方も、回収方法には気を付けてください。

返金を求める対応を誤ると、ご自身が罪に問われる可能性があります。例えば、脅迫、恐喝的手段などで返金を求めれば、それは当然、別途罪になります。

また、探偵などを付けて実家住所を調査し、実家に書面を送りつけたり訪問したりして親に請求するケースもよく見受けられますが、それは別途相手方に対するプライバシー権侵害として逆にこちらが損害賠償請求をされる可能性もありますので、やめましょう。

はやる気持ちを抑えて、自身が相手方から逆に付け入られる余地のない対応で返金を求めることが肝要です。

 

具体的にお金を取り戻す方法

まずは相手の女性と冷静に交渉にて返金を求めましょう。贈与ではなく貸付金だという相手方からの言質が取れれば、裁判上も有利な証拠として利用できます。ただし、当事者間での話し合いは往々にして平行線か、決裂しますので、その場合は民事で貸金返還請求訴訟を提起することになりますが、先ほどの参考判例でも述べていた通り、貸金であると判断されるためにはやり取りなどの客観的証拠に基づいて判断されますので、言質を取りつつ、スクリーンショットなど保存しておいた方が良いでしょう。

貸金返還請求訴訟としては、支払督促、民事訴訟が一般的ですが、支払督促の場合、相手が異議を申し出れば、通常訴訟である民事訴訟に移行することになりますので、訴訟を起こすなら最初から民事訴訟を提起する方が無難かと思います。

時間はかかるかもしれませんが、最終的に認容判決を得ることができれば、執行手続で回収を図ることができます。

 

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お金を取り戻すとは別論ですが、例えば「親の病気の治療費」という名目で貸したお金だったのに、実際は貸したときに相手方の親が既に亡くなっていることが戸籍上判明したというような相手の女性に明らかに詐欺罪が成立するような場合は、民事訴訟と並行して刑事告訴も選択肢の一つです。

 

最後に

パパ活をめぐるお金のトラブルに関しては、男性が感情的になることが多く、重大な犯罪行為に至ってしまうケースがあります。お金を取り戻すためには、適正な法的手続に則って回収を試みることをお勧めします。

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