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結婚詐欺で訴えたい!刑事告訴する際のポイントについて解説

結婚詐欺とは

結婚詐欺とは、結婚する意思がないにもかかわらず、相手に結婚するという素振りを見せて近づき、その相手から金銭などを騙し取ることをいいます。

類似する言葉に、恋愛詐欺もありますが、恋愛詐欺とは実際には恋人など恋愛関係になるつもりがないにもかかわらず、恋愛関係であるように装って金銭などを奪うことをいいます。

結婚する意思、恋人になる意思というのは、定義付けが難しいので、結婚詐欺または恋愛詐欺被害に遭った場合には、厳密に区別する必要はありません。

最近では、インターネットのマッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺被害も急増していますので、注意が必要です。

 

お金を貸した当初は返すつもりがあった場合は?

結婚詐欺は、相手に貸したお金を、相手が返さない場合に全てのケースにおいて詐欺罪が成立するわけではありません。

ケースによっては、最初は返す予定だったということもあるでしょう。

このような場合は、民法上の債務不履行責任を問うことはできますが、詐欺罪の責任を問えるわけではありません。

詐欺罪は、最初から相手に返す意思がなかった場合に成立する犯罪だからです。今後、捜査が開始されるなど結婚詐欺師が取調べを受ける際には、「最初は返すつもりだった」などと言いますが、これを覆すには後ほど紹介する証拠が必要不可欠となります。

 

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♦ 国際ロマンス詐欺の被害金の回収可能性

 

詐欺罪とは

詳細は関連記事をご参照いただければと思いますが、詐欺罪について簡単に触れておきます。

詐欺罪とは、人を欺いて財物や財産上における不法の利益を得る行為によって成立する犯罪です(刑法246条)。そして、人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処せられます(刑法246条1項)。

したがって、細かく言いますと、相手方の欺罔行為(騙す行為)があり、それによって被害者が錯誤(勘違い)に陥り、金銭などの財物を交付したことが必要となります。

結婚詐欺の場合で言うと、例えば、詐欺師が被害者に結婚するためには自己が経営する会社の借金の返済をしてから結婚したいと嘘をいい、その嘘で被害者が詐欺師と結婚するためには会社の借金の返済をする必要がある(相手方の経営する会社に借金がある)と勘違いし、それにより金銭などの財物を詐欺師に交付したものの、実際には詐欺師には結婚する意思もなく、経営しているといっていた会社も存在せず、当然会社の借金自体がなかったという場合には、詐欺罪が成立する可能性があります。

 

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♦ 詐欺罪で刑事告訴するときの注意点

 

結婚詐欺被害に遭った時の法的手続

被害届と刑事告訴

結婚詐欺で警察に被害を訴える場合には、被害届刑事告訴の2つがありますが、被害届は被害の申告をするのみであるのに対して、刑事告訴はそれに加えて犯人に対する処罰の意思表示も含まれます

また受理された後、警察が一向に動かず遅々として捜査が進まないことがありますが、刑事告訴の場合は捜査開始が義務付けられますので、選択できるとはいえ、やるなら刑事告訴の方が圧倒的に効果が大きいです。

ただし、刑事告訴の場合は、詐欺罪の立証困難性専門的な知識が必要になるなど警察に受理してもらうためのハードルは高めですので、弁護士に相談することをお勧めします。

 

民事上の慰謝料請求

結婚詐欺被害によって精神的苦痛を受けたとすれば、慰謝料を請求することができます。

 

結婚詐欺の証拠となり得るもの

刑事、民事どちらにしても、結婚詐欺被害に遭った場合は証拠が必要になり、これがとても重要です。ポイントは、「最初から騙すつもりがあった(相手に返す意思がなかった)」ことと、「お金を渡した」ことの証明です。

 

最初から騙すつもりがあった(相手に返す意思がなかった)

例えば、婚活アプリで知り合って、相手が既婚者であるにもかかわらず、プロフィール欄に「独身」「未婚」などと記載されている場合は有力な証拠となるでしょう(相手方の戸籍は弁護士であれば訴訟提起前に取得可能です)。

その他には、LINEなどから最初から騙すつもりがあったことが推認できるやり取りがあれば証拠となり得ます。

同様に、親や兄弟が犯罪を犯して逮捕され、示談金を肩代わりしないといけない等という嘘もよく見られますが、これらについても、警察が照会すれば明らかになりますから、犯罪を犯した事自体が嘘であれば、詐欺と認められる可能性がぐっと高まります。

 

お金を渡した

お金を渡した、つまり結婚詐欺被害者から加害者へ資金が移動したことがわかる証拠としては、借用書、契約書に加えて、振込明細書、領収書、通帳履歴が主になります。

その他金銭の貸し借りや贈与に関するやり取りがわかるLINEなどのデータも、間接的とはいえ、証拠になり得ます。

 

結婚詐欺被害に遭われた場合は弁護士に相談(まとめ)

結婚詐欺被害に遭われたときの法的手続について簡単にご紹介しましたが、刑事告訴、民事上の慰謝料請求を行いたい場合は弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談することで、証拠に基づいて客観的にアドバイスを受けることができます。

当事務所ではこれまで詐欺事件に関する相談を多く受けております。

結婚詐欺を含め詐欺被害に遭われた方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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