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被疑者は死亡しているのに、書類送検をする必要があるの?

過去の犯罪について、犯人が特定されたものの、「容疑者死亡のまま書類送検」とニュースで聞くことがあります。

被疑者は死亡しているのに、書類送検する意味は何なのか、と疑問に持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

なお、「容疑者」と呼称されることがありますが、被疑者と同じ意味です。一般的に、マスコミやメディアの関係で、「被疑者」だと「被害者」と聞き間違うおそれがあるためと言われています。正式な法律用語としては被疑者となります。

 

書類送検とは

過去の記事でもご紹介しましたが、書類送検とは、事件書類(記録)を検察官へ送る手続のことをいい、法律用語ではありません。法律用語で言えば、送致となります。

 

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被疑者は死亡しているのに、書類送検をする必要があるの?

過去の犯罪であっても、警察は捜査を継続します。そして、警察は、犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません(刑事訴訟法246条)。これを全件送致主義といいます。

そのため、警察は捜査を開始し、被疑者が死亡した場合、当然被疑者を逮捕することはできませんので、事件書類のみを検察官へ送致します。

ニュースなどでよく聞くセリフは、この手続のことで、法律に従った当然の処理ということになります。この点の例外はなく、たとえ交通事故を起こし被害者にケガを負わせた運転手がその交通事故で死亡した場合でも同様の処理が行われます。

 

書類送検後の手続き

一般的に、事件書類を送られた検察官は、起訴するか(刑事裁判にするか)、不起訴にするかを判断します。

しかし、被疑者が死亡している状況では、刑事裁判をすることができませんので、当然に不起訴処分となります。

 

「被疑者死亡のまま書類送検」は、国民に対する信頼維持?

警察に全件送致主義があるのは、被疑者は死亡したが、そこに至るまでの過程において、捜査が適切に行われたことを検察官にチェックしてもらう、また被疑者が死亡したからといって捜査を蔑ろにしないという警察の姿勢を国民に見せることが目的と言われています。

 

まとめ

日常的によく聞く「容疑者(被疑者)死亡のまま書類送検」について紹介しました。

この手続は、一言で言ってしまえば、全件送致主義の下、法律に従った処理であるということを覚えておいてもらえればと思います。

 

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