【削除請求】SNS上での誹謗中傷の投稿を削除したい
はじめに
SNSが発達していることに起因して、誰でも気軽に匿名で掲示板などにコメントを投稿することができるようになりました。
しかし、その弊害として、特定の人物に対する誹謗中傷コメントが頻発し、結果誹謗中傷を受けた人物が自殺など不幸な亡くなり方を選択してしまうケースも社会問題化しています。
誹謗中傷の被害者からすれば、投稿者を特定し法的責任を追及したいという気持ちもあれば、すぐにでも当該投稿を削除してほしいという気持ちもあるでしょう。
サイト管理者に任意で削除を請求する
ご自身で手っ取り早く削除請求する方法として、サイト管理者に直接任意で削除請求をする方法があります。
多くのサイトでは、独自の削除依頼フォームなるものが存在しますので、まずはそこから削除の申請を行います。
ただし、削除申請すれば何でも削除されるわけではありません。一般的に、各サイトにはこうした削除に関するガイドラインがありますので、申請する際にはガイドラインをまず一読して記入要領などを確認しましょう。
送信防止措置依頼書
削除依頼フォーム以外にも、送信防止措置依頼書による手続もあります。送信防止措置依頼書とは、インターネットにおける削除請求をする際によく使われる標準的な書式のことをいい、通称「テレサ書式」とも言われます。誹謗中傷の投稿が掲載されている場所(サイトURLなど)や情報、侵害されたとする権利とその理由など定型的な記入形式になっています。
送信防止措置依頼書によった場合、依頼書を受け取ったサイト管理者(コンテンツプロバイダ)は、連絡がとれる場合に限り、投稿者に対し意見照会書を送ります。意見照会書の回答期間は概ね2週間とされていますので、その間に投稿者から拒否の回答があれば、それを踏まえてサイト管理者側で違法性の有無を判断し、有りと判断した場合は削除します。一方で、無しと判断した場合や判断できない場合は削除請求を拒否します。
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裁判手続で削除請求する
任意で削除申請しても、サイト側がこれに応じないケースもあれば、送信防止措置依頼書でも最終的に削除拒否とされるケースもあります。
このようなケースでは、裁判所へ削除の仮処分命令を申し立てるか、削除請求訴訟を提起します。
仮処分申立ては、被保全権利や保全の必要性(速やかに削除しなければならない投稿内容であること)を疎明(裁判官にこちらの主張内容が「確からしい」という程度の推測を抱かせる挙証)により主張立証していきます。
この他同定可能性や権利侵害なども主張しますが、こうした手続は専門的な手続と知識が必要になりますので、弁護士に一任した方が良いでしょう。
削除請求する際のポイント
ここまで一般的な削除方法についてご紹介しましたが、削除請求する際にはポイントがあります。それは、削除の理由と証拠の収集です。
まず削除の理由についてですが、任意であれ、送信防止措置依頼書であれ、裁判手続であれ、サイト管理者または裁判官が分かるような削除理由を記載しなければなりません。そして、その削除理由については、法的な論点が含まれますので、手続がスムーズに進まないことがあります。
次に、証拠の収集ですが、一般的に、誹謗中傷と思われる投稿のスクリーンショット(URLが表示されていることが望ましい)、スレッドタイトル、投稿日時などが主となりますが、この他裁判手続に至った場合には同定可能性(投稿内容が誰のことを指しているのか、第三者から見てもわかること)が争点となることもありますので、その立証も必要となります。
削除請求をスムーズに進めるためには弁護士にご相談を
こうした削除請求の手続はすぐにでも削除したい気持ちが早まって、法的主張ができていなかったり、立証不足などの点から、結果的にスムーズにいかないことがあります。
このような場合は、手続をスムーズに進めるためにも、また手続の都合上、即刻削除とはいかないものの、より確実に削除をするためにも、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
相談を受けることで、削除以外にも投稿者を特定するための手続(発信者情報開示請求)についてもアドバイスを受けることができる場合もあります。
誹謗中傷の投稿に対しては、削除請求のみならず、発信者の特定や法的責任の追及なども視野に、柔軟な問題解決を図ることを検討しましょう。