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ハラスメントが発生したときの労働者側と雇用主側の具体的な対応

ハラスメントの定義

ハラスメントとは、相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般をいいます。全般であるため、様々な類型があります。

ここ最近で話題になったハラスメント言えば、東京都が全国初のカスタマーハラスメント(通称カスハラ)を防ぐ条例の制定を目指すというニュースは話題となりました。

カスハラの他にも、職場で特に問題となり得るセクハラパワハラや、アルコール・ハラスメントジェンダー・ハラスメントアカデミック・ハラスメントもハラスメントです。

 

 

 

 

ハラスメントが発生したときの労働者側の対応

1 どんなことをされたのか出来事を記録・整理する(証拠集め)

ハラスメントと思われる行為をされた場合は、いつ・どこで・誰から・何をされたのかを記録しましょう。こうした記録は、後々のハラスメント行為者や会社に対する請求において有効となり得ますので、メモや録音など適切な方法で記録を残すことをお勧めします。

ハラスメントによって精神的に追い詰められ健康被害が出た場合は、医師の診断書も有力な証拠となります。

 

2 信頼できる人や会社に相談する

ハラスメント被害に遭ったら、自分の中に抱え込まずに、社内で信頼できる人に相談しましょう。信頼できる人がいない場合は、人事部や社内相談窓口(なければ総合労働相談コーナーなどの外部相談機関)で相談や報告することもアリでしょう。相談したことの記録は忘れずに

 

 

 

 

3 ハラスメント行為者や会社に対する請求と交渉

ハラスメントに対してとり得る労働者側の手段・措置としては、ハラスメント行為者や会社に対し、ハラスメント行為をやめること就業環境を整備すること慰謝料等損害賠償を求めて交渉することが考えられます。

しかしながら、ハラスメント行為は密室や第三者がいない場所で行われるケースが多く、ハラスメント行為があったことを示す客観的な証拠が乏しいことがあります。また実際に今自分が受けている被害がハラスメントにあたるのかどうか判断することは難しいといえます。

 

4 弁護士に相談

ご自身の力や社内の相談窓口、特にハラスメント行為者や会社に対する請求と交渉での解決が難しいようであれば弁護士への相談も検討しましょう。

ハラスメントによって退職せざるを得なくなった、精神疾患などの発症により働けなくなったなどの損害が発生した場合は、裁判手続である労働審判損害賠償請求訴訟を提起することもあり、弁護士の力が必要になります。

 

 

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雇用主(事業主)がとるべき具体的対応

会社内で発生したハラスメントは、どのような会社であっても起こり得るものであり、企業の評価に悪影響を及ぼしかねません。

そのため、適切な対応を迅速に行い、問題が悪化しないよう会社としてハラスメント対策も同時に進めていかなければなりません

 

企業には職場環境配慮義務がある

ハラスメントに関する義務として、労働契約法と男女雇用機会均等法に基づき、雇用主は職場環境配慮義務を負っています。

この職場環境配慮義務とは、要するに、企業の経営者や管理者は、自社で働くすべての従業員が快適に働けるように職場環境に配慮する義務というもので、雇用形態に関係なく、自社内で働く労働者であれば全員に適用されます

雇用主が、職場内でのハラスメントを未然に防止するための対策を講じることも職場環境への配慮とされ、職場環境配慮義務に違反して、ハラスメント行為を放置することは許されないとされています。

 

 

1 方針の明確化及びその周知・啓発

まず、職場におけるハラスメントを防止するためには、経営者自らがトップメッセージとしてハラスメントを許さないという明確な方針を策定し、それを労働者に対して周知・啓発させることが重要です。就業規則にハラスメントに関する規定を設けることも一つでしょう。

 

2 相談体制の整備

職場内でハラスメントに関する相談窓口を設置することもハラスメント対策として有効でしょう。設置して終わりではなく、相談者に対する適切な対応として、例えば相談方法をメールでも可能にするなどハラスメントの内容や状況に応じた対応が求められます。

なお、2020年6月よりパワハラ防止法が施行され、大企業に対してパワハラの相談窓口の設置が義務化され、2022年4月からは中小企業においても相談窓口の設置が義務化されています。

 

 

 

 

 

3 迅速かつ適切な対応と適正な措置

ハラスメントが発生した場合は、まずは事実関係の正確な把握を行います。その際、相談者の心身の状況やプライバシーにも配慮します。

 

4 弁護士に相談

ハラスメント問題に関しては、相談内容や状況が多種多様であり、マニュアル化してもそれを上回る事態が起きます。従いまして、ハラスメント問題に対する完全なマニュアル化は難しいと思ってください。

自社内でマニュアル化したとしても、一度は弁護士にリーガルチェックをしてもらうべきでしょう。

当事務所では、これまで企業側から労働環境の整備として、就業規則や雇用契約書をはじめとする書類作成を行ってきました。

法律問題というのはそれぞれの状況によって内容、結論、解決方法は異なります。

 

 

 

 

最後に

当事務所では、労働者側の相談のみならず、雇用主側からのご相談も多く寄せられています。

特に労働者側のご相談では女性のご相談者も多く、デリケートなところもあるハラスメントについては、精神的なケアが必要となるケースもありますので、ご相談の際は女性事務員も同席して対応にあたっています。

会社や上司、同僚からのハラスメントにお悩みの方、また会社としてハラスメントにどのように対応・予防していけばいいのかお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

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