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告訴が受理されなかった~公安委員会への苦情申出制度があります。

はじめに

警察は原則として告訴状の受理を拒否できないにもかかわらず(犯罪捜査規範63条)、「証拠が足りない」などの理由を付けて告訴状の受理を拒まれたケースはよくあり、当事務所にも多数のご相談が寄せられているところです。

このような場合、弁護士に依頼して刑事告訴をしてもらうことが一般的です。

また一方で、制度として(これを利用するかどうかは別として)、苦情申出制度があることを知ってほしく、ご紹介したいと思います。

 

公安委員会への苦情申出

警察法79条は、「都道府県警察の職員の職務執行について苦情がある者は、都道府県公安委員会に対し、国家公安委員会規則で定める手続に従い、文書により苦情の申出をすることができる。」としています。

ここでいう苦情とは、①警察職員が職務執行において違法又は不当な行為をしたり、なすべきことをしなかったことにより何らかの不利益を受けたとして個別具体的にその是正を求める不服、あるいは②警察職員の不適切な執務に対する不平不満をいいます。

 

 

 

申出書の記載内容

苦情申出の方法については、決まった様式はありませんが、申出書に記載しなければならない項目が苦情の申出の手続に関する規則で定められています(参考条文参照)。

 

 【参考条文】 苦情の申出の手続に関する規則(平成13年国家公安委員会規則第11号)
第1条 この規則は、警察法79条の規定による都道府県警察の職員及び警察庁の警察官の職務執行についての苦情の申出の手続に関し必要な事項を定めるものとする。

第2条 苦情申出を行おうとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した文書を提出するものとする。

一 申出者の氏名、住所及び電話番号

二 申出者が住所以外の連絡先への処理の結果の通知を求める場合には、当該連絡先の名称、住所及び電話番号

三 苦情申出の原因たる職務執行の日時及び場所、当該職務執行に係る警察職員の執務の態様その他の事案の概要

四 苦情申出の原因たる職務執行により申出者が受けた具体的な不利益の内容又は当該職務執行に係る警察職員の執務の態様に対する不満の内容

 

 

受理された苦情申出はどのように処理されるのか

この警察法に基づき、刑事告訴が受理されないという苦情を公安委員会に申し出て、公安委員会がこれを受理すると、例えば東京都の場合、東京都公安委員会は警視庁(神奈川県であれば神奈川県警など)に対し、申し出のあった苦情に係る事実関係があったか、また事実関係が確認できた場合には、苦情の対象である職務執行の問題点はなかったかなどを調査するよう指示します

調査指示を受けた警視庁は、苦情申出の原因となった場所(警察署など)と職務執行にあたった警察職員に対して、必要な調査及びその結果を踏まえた措置について東京都公安委員会に報告します。

そして、報告を受けた東京都公安委員会は、報告を元に審議のうえ、申出者への通知内容を決定し、処理結果を申出者に文書で通知します

 

 

告訴が受理されなかった場合は弁護士に相談を

今回、刑事告訴を提出したが受理されなかった場合、苦情申出制度があるということをご紹介しました。

勿論、ご自身で告訴状の提出から苦情申出制度を利用して、最終的に告訴状を受理してもらうことも手続としては可能ですが、苦情申出は警察職員の執務の態様などを理路整然と記載しなければなりません。告訴状もそうですが、そこには専門的知識や時間的・精神的な労力がかなり負担となり得ます。

当事務所ではこれまで実際に苦情申出をして受理させたケースもあれば、苦情申出をしなくても告訴状の1回目の提出は自分でやったがダメで、2回目は当事務所に依頼されて受理してもらったというケースもあります。弁護士が介入したからといって警察の態度が軟化するわけではありませんが、法的知識を駆使して警察とやり取りをすることができますし、足りなかった告訴状の修正を行うこともできます。

刑事告訴が受理されなかった場合の後の対応についてお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

 

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