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警察に逮捕された場合、携帯電話(スマホ)の中身のデータは見られるのか

逮捕された場合、逮捕された人が持っている携帯電話も押収されることが多いです。また、逮捕までされなくとも、捜索差押許可状を持って警察が家や会社に急に来た場合にもスマホやパソコンは最も押収されることが多いものの一つです。

そのような場合における、押収中の警察でのスマホの取り扱われ方や、パスワードを掛けている場合にどうなるのか、中身はどこまで見られるのか(LINEなどの会話履歴も見られるのか)、消去したデータは復元されるのか、等々の逮捕された場合によく尋ねられる点について解説していきます。

 

捜査機関における押収中の携帯電話(スマホ)の取り扱われ方

押収された携帯電話は、ロックされている場合には被疑者にパスワードを尋ねた上、

①もっとも簡易的な場合(ざっと見れば分かる場合)には刑事の目で中身を見て、怪しいものがなければそれ以上は調べず、電源を切ったまま置いておかれ、釈放後に返却(還付)されます。

②共犯者の存在が疑われるような被疑事実で押収されている場合には、スマホを警察署内のPCと接続してデータを抜かれ、LINE等の会話履歴やインスタやX(旧Twitter)等のDMの会話履歴などもチェックされる事が多いです。

③同様に、盗撮事件など携帯電話内に被疑事実に関わる証拠が隠されている可能性が高かったり、削除されている可能性がある場合には、携帯電話を科捜研(科学捜査研究所)に送り、科捜研にてデータの解析や復元まで行われることもあります。

上記のようなデータの収集および復元作業が済んだ後は、電源を切られ、所有者に返却するまでは警察署内で保管されています。

そのため、犯罪を犯しており、近々逮捕される可能性のあるような方に連絡をしたところ、急に電源をオフにしている状態が続いているような場合、その方は逮捕され、どこかの警察署で勾留されている可能性があるかもしれません

このような場合には、警察署の留置係(警察署の代表電話にかけて留置係までお願いすればつないでくれます。)に在監確認をして、本当に勾留されているか確認しましょう。

ただし、どこの警察署で留置されているかは他の警察署で尋ねてもそもそも把握しておりませんので、どこの留置場にいるのか分からない場合には、思い当たる警察署に片っ端から在監確認を行うか、検察官への送致後であれば検察庁に被疑者名および被疑罪名を伝えれば、確認することが出来ます。

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パスワードを教えないとスマホ内のデータを見られずに済むのか?

スマホ内に盗撮画像や共犯者との会話履歴等がある可能性がある場合、警察からスマホのロック解除用のパスワードを教えるように求められることがあります。

パスワードを尋ねられた場合、逮捕された事件の被疑事実を真意に基づいて自白しており、余罪の心配がないという場合には、教えても特段問題はないでしょう。

他方、余罪があったり、あるいは余罪がなくても他人に見られたくないプライバシーに関わる情報が入っていて見せたくないという場合、被疑者には黙秘権が保障されておりますので、パスワードを教える法的義務はありません。したがって、言いたくなければ言う必要はありません。

スマホ内のデータから余罪が発覚するケースはよくありますし、スマホ内に保存された情報は最も重要で決定的な証拠になることも多いですから、パスワードを教えていいかはよく弁護士と相談してから決めるようにして下さい。

ただし、パスワードを教えなければそれで済むかと言えば当然そのようなことはなく、携帯端末内に被疑事実を立証する証拠が含まれている可能性が高い場合には、警察は裁判所で令状を取ってきて、強制的に顔認証や指紋認証をさせてロックを解除するという対応を行ってきます。

では、顔認証も指紋認証も設定しておらず、パスワードでしかロックを解除出来ない場合には警察はどうするでしょうか?被疑者に拷問をしてパスワードを吐かせるようなことは当然我が国の法律では許されておりませんから、データを見られずに済むかと言えば、残念ながらそうはいきません。

このような場合、警察は、「デジタル・フォレンジック」という分析調査手法を用いて、スマホのロックが掛かった状態のまま、端末内に保存されたデータを抜くという方法を採ってきます。

デジタルフォレンジックでは携帯電話内の全データが抜けるわけではないようで、OSがAndroidかiOSかによっても結果が異なるようですし、OSのバージョンによっても結果が異なるようですので、警察の捜査が不要であったり不当と判断した場合には、ここまで戦うこともあります。

 

 

 

携帯会社による解約にも注意

再逮捕が続くと勾留が1年以上にも及ぶ場合も中にはあります。そのような場合、携帯電話の料金が支払われなければ携帯会社から解約されることがあります。

逮捕されたことを理由に解約されることはありません。この場合の解約は料金未納による解約です。

そのため、もし逮捕期間が著しく長くなりそうな場合には、事前に弁護士や家族に対応をお願いしましょう。

 

逮捕されたら/家族が逮捕されたことを知ったら…早めに弁護士に相談を。とにかく初動が大事。

初犯で逮捕が初めての場合、普通の方は逮捕後の流れや手続など知りませんし、警察は必ず「認めれば早く出られる。否認するならずっといることになるぞ。」と決まり文句のように脅しを入れてきます。

そのため、警察が嘘をつくわけがないと思い、やってもいないのに自白してしまったりするケースが後を絶ちません。

実際、携帯電話のロックについても、弁護士が初回接見に行った段階で「刑事さんから聞かれたから教えなきゃいけないものだと思ってパスワードを教えちゃいました。」として既に教えてしまっていた場合の方が圧倒的に多いです。

したがって、警察や当番弁護士によって家族が逮捕されたことを知ったとき、または目の前で逮捕されたというような場合でもすぐに弁護士を探してなるべく早く、初回接見に行ってもらい、取調べに対するアドバイスや姿勢などの知識を被疑者の方に与えなければなりません。

残された家族としてまずできることは弁護士に相談することです。

スマホの中にありとあらゆる情報が入っている現代においては、その後の再逮捕や刑事裁判に初動が大いに影響してきます。

家族が急に逮捕されたり連絡がとれなくなるだけでもパニックになるかと思いますが、冷静に対応し、家族が逮捕されたらまず何をすべきかを覚えておくだけでも有益となるでしょう。

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