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美人局被害にあい、刑事告訴で相手からの脅迫/恐喝を止めたいとき

美人局(つつもたせ)被害とは

美人局とは、簡単にいえば、加害者側の男女が共謀して行う脅迫・恐喝行為や詐欺行為をいいます。

一般的に男性が被害者になりやすく、被害者である男性が加害者側の女性と性的関係を持ったこと、または持とうとしたことを理由に、その女性や共謀関係の男性がゆすりをかけて、被害男性から金品を要求されます。

未成年者(正確には18歳未満の児童)をダシにしてマッチングアプリや出会い系サイトで男が女のふりをしてターゲットと連絡を取り合い、実際に児童が来て性交渉を行ってしまった後に恐喝して金を要求するなどの手法も多く、このような場合には男性側も純粋な被害者ではなく、青少年保護育成条例違反や児童の年齢が16歳未満の場合には不同意性交罪が成立する場合もあり、犯人側は被害者の弱みを作らせてから脅してきます。

また、女性側から「安全日だから中で出していいよ。」、「避妊しなくても大丈夫だよ。」と言われ、それを信じてコンドームをせずに性交渉を行った挙げ句、後日になって「妊娠したから中絶費用と慰謝料を払って。払ってくれないなら産むから養育費を請求するから。」等と男性側に脅しを掛けてくる悪質な事例も散見されます(ただしこのような場合、実際には妊娠しておらず、病院名などを聞いても資料の提出を求めても一切出してこない(出せない)というように妊娠自体が虚偽であることも非常に多いです。エコー画像を出してくる場合もありますが、フリマサイトなどでエコー画像が販売されており、自分のものではないことも往々にしてあります。)。

 

マッチングアプリで知り合った女性とホテルに行こうと入口に入ったところ、その女性の彼氏だと名乗る男性から声を掛けられ、「家族や会社にバラすぞ。バラされたくなかったら、100万円払え。」と言われて社員証や免許証の写真をその場で撮られたものの、所持金が15万円しかなかったため、その場で15万円を支払ってしまい、その後も脅されている、という典型的な美人局のケースを基に、脅迫罪や恐喝罪が成立するのか、脅しを止めるために何ができるのかについて解説します。

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脅迫罪について

脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したときに成立する犯罪で、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります(刑法222条1項)。

脅迫罪の構成要件

美人局被害に遭ったケースを基にどのような行為が脅迫行為にあたるのか、ポイントは、①人の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、②畏怖させるに足りる程度の害悪を告知すること、です(①と②が脅迫罪の構成要件になります。)。

脅迫行為は、人の生命、身体、自由、名誉又は財産に向けられたものであればよいので、冒頭のケースで言えば、たとえ金銭の要求がなくても、「家族や会社にバラすぞ。」と言った被害者の名誉に対する脅しといえるため、その時点で脅迫罪は成立します。

次に、害悪の告知ですが、畏怖させるに足りる程度であればよいのです。ただ被害者が怖いと感じる程度ではなく、一般人であれば誰しも怖がるであろうと客観的に認められるものと考えておけば問題ありません。たまたま被害者が心身ともに屈強な人物で、実際には全然怖くもなんともなかったという場合でも、脅迫罪は成立し得ます。害悪の告知の程度は、告知された内容、場所や方法などの状況、相手との関係性などから総合的に判断します。

 

恐喝罪について

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させたときに成立する犯罪で、10年以下の懲役となります(刑法249条1項)。

恐喝罪の構成要件

美人局被害に遭い、相手に恐喝罪が成立するための構成要件は、①恐喝行為により、②人に財物を交付させたとき、です。

①恐喝行為については、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、相手の反抗を抑圧しない程度のものをいいますが、恐喝罪は未遂規定がありますので(刑法250条)、恐喝行為のみで、実際には財物の交付がなかったら恐喝未遂罪が成立します。

脅迫行為との違いは、脅迫行為が人の生命、身体、自由、名誉、財産を対象としますが、恐喝行為の対象には限定がありません。

そのため、冒頭のケースで言えば、「家族や会社にバラすぞ。バラされたくなかったら、100万円払え。」と申し向けた行為自体が一般的に「人を畏怖させるに足りる程度の脅迫」に当たると裁判官が判断すれば、恐喝行為にあたります。

次に、②人に財物を交付させたときの要件は問題なく充足しますね。つまり、恐喝行為によって美人局の被害者が恐怖を感じて、15万円を渡したので、被害者の財物である現金15万円が移転した、ということになります。

 

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刑事告訴をするメリットとは

さて、このような美人局の被害に遭い、加害者に対して刑事責任を負わせたいのであれば、警察に被害届を提出するか、刑事告訴をするかのどちらかになります。

両者の違いは、被害届が被害の事実を申告する届出にすぎない(要するに警察は被害届だけでは捜査してくれない場合もある)のに対し、刑事告訴はそこに犯人を処罰して欲しいという意思表示が加わります(なので告訴を受理した以上は、徹底的に出来る限りの捜査を行わなければいけなくなります)

要するに、捜査機関は被害届を受理したら、捜査するかしないかは警察の判断によるところですが、刑事告訴を受理したら必ず捜査を開始しなければなりません。このことから受理されるまでのハードルも刑事告訴の方が高くなります。

その他、刑事告訴は事件処理の結果が告訴人(被害者)に通知されますが、被害届は通知されません

なので、犯人が最終的にどういう処分になったのか、どういう刑罰を受けたのかを知りたい場合には、刑事告訴を選択すべきです。

 

もっとも、被害届でも刑事告訴でも捜査機関が受理しなければならない義務を負っていることは共通です。

こうした違いを踏まえて、美人局(脅迫又は恐喝)の被害に遭った際に、自分に合った手続を選択しましょう。

 

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脅迫や恐喝で刑事告訴するとなったら、証拠が必要

美人局の被害に遭い、脅迫又は恐喝、詐欺等で刑事告訴をしようとする際、被害に遭ったことがわかる客観的な証拠が必要になります。

例えば、加害女性とのやり取り、恐喝等をされたときの状況を記した録音やメモ、事件の経緯を時系列にまとめたメモも状況を説明するためには有用となるでしょう。

 

 

まとめ

やめてくれと言って、素直にやめてくれる相手であれば、被害届や刑事告訴をする必要はないかもしれません。しかし、当事務所に寄せられる相談者の多くは「とにかく相手の行為を止めて欲しい」といって相談される方が多く、またその相手の多くは素直に脅迫や恐喝行為を止める相手ではありません。

加えて、相談者自身が児童と性交渉を行ってしまっていたり、盗撮行為を行ってしまっており警察に突き出されたら自分も捕まるのではとお悩みの方も多いです。

このような場合は、すぐに弁護士の介入が必要不可欠となりますから、すぐに当事務所までご連絡ください。この場合、事案に応じて最善の方針を一緒に検討いたします。

刑事告訴をし、警察が捜査を開始することで、脅迫又は恐喝被害を完全にブロックすることはできますので、恐怖に怯えて今後の人生で加害者側にお金を払い続けるようなもったいない選択は絶対にしないでいただきたいです。

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