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示談金の過剰な請求は罪となり得るのか

刑事事件では、示談金又は示談交渉はよく聞くワードだと思います。

加害者からすれば被害者と示談できれば、その後の処分決定に大きく影響することになりますし、被害者側からしても自ら民事訴訟を起こさなくても賠償金を獲得できる、加害者との関わり合いを最低限に抑えられることになります。

民事事件でも訴訟に至る前段階として、示談交渉をすることがあります。

示談交渉は基本的に弁護士が介入するものではありますが、当事者同士で示談交渉をし、示談をまとめようとすると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。

 

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一括では支払えないほど高額な示談金を要求されることがある。

こうした示談交渉は必ず弁護士が介入しなければならないわけではありませんので、理屈上は弁護士を介さず、自分で示談交渉することは可能です(ただし、刑事事件で被害者の連絡先を入手しようとする場合、捜査機関経由で被害者から了解を得た上で、弁護人にのみ被害者の連絡先を知らされますので、事実上、弁護人が必ず介入しないと連絡先を知らない被害者との間で示談交渉はできません。)。

しかし、加害者の弱みにつけこんで、高額な示談金を要求してくることがありますので、お勧めしません。

相手の言動によっては、脅迫罪又は恐喝罪になり得る

当事者同士の示談交渉の場で、立場上、加害者が被害者に強く言えない心理が働きます。

被害者はこうした弱みにつけこんで高額な示談金を要求することがありますが、被害者の言動によっては、示談交渉の場であっても脅迫罪(刑法222条)又は恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性があります。

 

脅迫罪

脅迫罪とは、人又はその親族の生命・身体・自由・名誉又は財産に対して害を加えることを告知することで成立する犯罪です(刑法222条)。

例えば、加害者には妻子がいるにもかかわらず、マッチングアプリで出会った女性と性行為をしたところ、その女性には夫がいたというような、いわゆる美人局で、その夫から「金払わないんなら俺の女がやられたこと以上のことを、あんたの奥さんにしてやるよ。」と言われた場合、その夫の発言は生命又は身体に対する害悪の告知に当たり得るので、脅迫罪が成立する可能性があります。

 

恐喝罪

人を恐喝して金銭などの財物を交付させられた場合には、恐喝した人に恐喝罪(刑法249条)が成立することになります。

権利行使と恐喝の関係について

他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり、かつその方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を超えない限り、なんら違法の問題を生じないけれども、右の範囲・程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪の成立することがある」(最高裁昭和30年10月14日判決)

すなわち、盗撮をした際に、盗撮行為を目撃して警察に突き出そうとする、いわゆる盗撮ハンター(私人逮捕系YouTuberなど)でよくある例を考えれば、盗撮ハンターは被害者本人ではなく、盗撮犯に対して何らの請求権も有していませんから、「このままだと警察に突き出すけど、それが嫌なら、この場で200万円払ってくれればなしにしてあげるよ。」等と言われた場合、態様や言動によっては、たとえお金を支払わなくても恐喝(未遂)罪が成立する可能性があります。

 

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示談交渉の相手方から脅迫又は恐喝されたらどう対処するか

まずは絶対に相手の言いなりにならないことです。

刑事事件の相場の一つ例を挙げるとすれば、盗撮事件における示談金の相場は、概ね20万円から高くても50万円といったところです。これに比べて先ほどの200万円というのは、あまりにも過剰で高額な金額であることはおわかりいただけるかと思います。

 

 

また、すぐに弁護士に相談した方がいいでしょう。

刑事事件に精通した弁護士であれば示談金の相場はある程度わかります。その上で、相談者の意向を踏まえて、今後の対応についてアドバイスすることもできますし、場合によっては間に入って(事件を受任して)、適正な金額での示談交渉、あるいは被害届が提出された場合であっても不起訴処分に向けた弁護活動を早期に開始することもできます。

さらに、刑事事件とは別の手続として、民事訴訟で「〇円を超えて存在しないことを確認する」ことを債務(一部)不存在確認の訴えを提起することも一つです。

 

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