COLUMN

コラム

逮捕されたら人生終わり…なのか?

逮捕された場合、逮捕後の人生はどうなるのでしょうか。

逮捕された自分だけでなく、家族や恋人、仕事はどうなるのか、不安に思われるでしょう。

日常生活をする上でも、周りの人から「犯罪者」、「前科者」として見られてしまい、終わってしまうのでしょうか。

確かに、逮捕されたことで少なからず影響は出るでしょう。

しかし、そのような影響を抑えていくことができます。どうすればよいのか、逮捕されることに不安な方、また大切な人が逮捕されてしまいこの先どうなるのか不安を抱える人に向けて、極端に言えば、「逮捕されたら人生終わりなのか」についてご紹介します。

 

逮捕されてから処分が決まるまで

まずは逮捕されてから検察官の終局処分(刑事裁判になるのか、罰金刑になるのか、不起訴になるのかetc)が決まるまでの手続的な流れを確認します。

通常、逮捕された場合、まずは警察の取調べを受けます。逮捕されてから48時間以内に警察は検察へ身柄と事件記録を送致します。

検察官に送致されてから24時間以内に勾留請求がされ、裁判官が決定をすれば、最長20日間の勾留(身柄拘束)を受けます。この間、在宅事件でない限り、警察署の留置施設などで日々過ごしながら、検察官からの取調べを受けます。

取調べが終わり、検察官が起訴する判断をすれば裁判になり、不起訴の判断になれば釈放され事件は終了となります。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 留置場での生活はどうなの?差し入れについても解説

♦ 一般の方による面会・差入れには制限があります。

 

 

逮捕されたことによる影響

 

手続的流れを見たところで、逮捕された場合、最長23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。もちろん、その間スマホを手にすることはできませんし、外部との連絡手段は接見や手紙を差し出す以外にはありません(接見禁止命令が出されている場合にはご家族や友人との間ではこれらも出来ず、弁護士を介したやり取りしか出来ません)。

逮捕されたことによる影響については、主に家族に連絡されるのかという家族関係、会社や学校はどうなるのかという仕事や学校関係、その他前科は付くのか、周囲に知られるリスク、経済的(家計的)影響になるでしょう。

 

家族に連絡されるのか?

家族の目の前で突然逮捕された場合は別として、例えば、通勤中の痴漢で逮捕された場合、家族に連絡はいくのでしょうか。

結論から言えば、警察から連絡されることもあれば、弁護士から連絡されることもあります。

現在の実務上の運用は、被疑者の側から家族への連絡を積極的に希望すれば基本的には警察が連絡してくれますが、捜査が時間的な都合上もあり捜査が最優先されますので、希望したとしても連絡されない場合も稀にですがあります。

ただし、逮捕されたとしても、微罪で家族に身元引受人として警察署まで迎えに来てもらう必要がある場合には被疑者の希望の有無に関係なく警察から家族に対して連絡されます。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 家族が逮捕されたら警察から連絡はくる?その時、ご家族ができることとは

 

仕事や学校はどうなるのか?

仕事関係ですが、業務上横領や業務中の交通事故など職務中の犯罪行為でない限り、警察から会社に連絡がいくことはありません

つまり、会社からすれば、無断欠勤で携帯に連絡しようにも電源が入っておらず(警察に電源オフの状態で預けられるため)、音信不通状態が続くことになります。

したがいまして、会社をクビになるかどうかは、会社ごとの就業規則によります。例えば、会社の就業規則において、5日間連続で無断欠勤した場合は懲戒解雇とする、という規定があり、実際に5日間身柄拘束をされ続けた場合は、懲戒解雇されるおそれはあります。

会社勤めであればその職場への対応、学校通いであれば学校対応が必要になります。

 

前科が付くのか?

その他としては前科がつくかどうかですが、逮捕されただけでは前科はつきません(ただし「前歴」となります)。

前科が付くのは、起訴処分となり公判請求されて正式な刑事裁判となり、裁判で有罪の判決を受け、その判決が確定したときです。判決が確定するまでは、推定無罪の原則が働くため、前科はつかないことになります。

 

周囲に知られるリスクはあるのか?

逮捕されたことが周囲に知られるきっかけとなりやすいのは、マスコミ報道や警察官の聞き込みで噂が立つ、というものがあります。

しかし、微罪となる事件まで全国的なニュースになるわけではありません。

一般的に報道されやすい犯罪としては、社会的に関心のある、例えば殺人、強盗、放火、飲酒運転事故、特殊詐欺、トクリュウ(匿名流動型犯罪)になるでしょう。

報道されやすい被疑者の属性としては、有名人、公務員(警察官、自衛隊員、消防隊員、議員etc)、有資格者(裁判官、弁護士、司法書士、医師etc.)等はマスコミ報道の可能性が一般の方よりもぐっと高まります。ただし、上記以外であっても悪質な犯罪行為の事案であれば報道されることもありますし、全国紙には掲載されなくても、地元新聞紙であれば、掲載される可能性はあります。そしてそれがネットニュースとなり、全国的に拡散されることもあります。

もちろん、ご自身や家族が逮捕されたとしても、周囲に知られることなく日常生活に戻れる可能性もあります。

 

家計的影響

逮捕されると被害者への示談金が必要となる場合があります。示談できなかったとしても、後日被害者から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

また身柄が拘束されている間、事実上働けないことにより収入が途絶え、場合によってはお住いの地域から転居せざる得ず転居費用を支出することもあるでしょう。

 

影響をなるべく抑えるためには弁護士に依頼するべき

逮捕されても人生終わりだと諦める必要はありません。

確かに、逮捕されたことで少なからず影響を及ぼすでしょう。しかし、ご紹介した影響をなるべく抑えるためには、弁護士による弁護活動が必要不可欠となります。

例えば、逮捕直後は弁護士でないと接見することができません(親族や一般の方は早くても逮捕から4日目以降)。その間、逮捕された人は外部と連絡することはできませんし、家族の方も事情を把握するどころか、逮捕されたことすら知らないケースもあります。

そうなると、会社や学校への対応も遅れを取り、最悪の場合、懲戒解雇や自主退学となることがあります。

しかし、逮捕された直後から弁護士に依頼すれば、弁護士を通して、ご家族の方は事情を把握することができますし、弁護士と会社や学校の対応方法を相談することができます。

もちろん示談交渉も任せることができますので、早期に釈放され、影響を最小限に抑えることも十分可能でしょう。

 

できるだけスムーズに日常生活を取り戻すためには、早期に身柄拘束から解放されることがポイントです。そして、そのためには弁護士による早めの弁護活動が重要となります。

罪を犯してしまい逮捕されるか不安な方は自首するという選択もあります。自首することで、身柄を拘束させないまま捜査が進むこともありますので(在宅事件)、ケースによってはあり得ますので、弁護士に相談することをお勧めします。

また家族が逮捕されたという連絡を受けた場合もできるだけ早くに弁護士に相談してください。

コラム一覧