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不正アクセスされたら警察へ!!~警察が動かないときの対処も解説

「自分のアカウントから覚えのないログイン履歴がある」

「SNSのアカウントを乗っ取られた」

 

こうした行為は不正アクセス行為が原因であることが多く、このようなお問い合わせは当事務所に多く寄せられるところですが、今回のコラムの押さえるべきポイントは、こうした不正アクセス被害に遭ったときは、迷わず警察に相談です。

 

インターネットが普及し、手軽にネットショッピングを楽しめるようになりましたが、そもそも不正アクセスとは、許可されていないにもかかわらず、他人のスマホやパソコンにアクセスする行為をいいます。

こうした不正アクセス行為は、不正アクセス禁止法によって犯罪行為とされており、刑罰も規定されています。

 

不正アクセス行為に当たる5つの行為

不正アクセス禁止法では、禁止行為として5つの行為とそれに対する罰則が規定されています。

 

なりすましとは?

なりすましとは、他人のアカウントを勝手に利用し、本人になりすまして第三者とコミュニケーションを図ったり、SNSなどに投稿する行為をいいます。

なりすまし行為自体は犯罪ではありませんが、例えば、本人になりすましてプライバシーを公開すればプライバシー権侵害になり得ますし、、SNSなどでなりすまして他者を誹謗中傷すれば名誉毀損罪に問われる可能性もあります。

 

不正アクセス被害に対してやるべきこと

 

不正アクセス行為は、不正アクセス禁止法で処罰される犯罪行為です。

そのため、不正アクセスの被害に遭った際には、まずは警察に相談し、被害届を提出しましょう。

不正アクセス被害に遭った又はなりすまされた、アカウントが乗っ取られたので、相手を特定したいという相談をよくいただきます。しかし、一般的に、相手を特定するためには発信者情報開示請求をし、そして、発信者情報開示請求をするためには、権利侵害の明白性などが必要であり、不正アクセス行為については弁護士によって開示請求は基本的にできません

 

 

弁護士に相談するタイミングは?

このように、具体的な権利侵害が明らかでないのであれば発信者情報開示請求を利用して、不正アクセスした人を特定することはできません。

しかし、例えば、自分の名前と顔写真を用いてなりすまされて、個人情報や誹謗中傷の投稿がされたり、不正アクセスされてプライベート写真が流出し、SNSに写真とともに「こいつは犯罪者だ」というような投稿されたりした場合は、権利侵害は明らかであるし、開示を受ける正当な理由はあるといえますので、弁護士に相談した方がいいでしょう。

 

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不正アクセス被害に対する警察の動き

ここからは、警察に相談した後の警察の動きについてご紹介します。

不正アクセス被害に遭った場合、警察に被害届を提出するのが一般的です。

刑事告訴も手続としてはありますが、被害事実の申告を速やかに行うためにも被害届がより簡便です(被害届の提出、刑事告訴について弁護士のサポートを受けることはできます。)。

次に、警察に被害届を提出するにあたっては、証拠が必要になります。

この場合の証拠としては、SNSやウェブサイトなどへのログイン履歴クレジットカードの利用履歴メールの送信履歴などが典型例です。

場合によっては、専門の調査会社に依頼することも一つですし、アカウント情報であればアカウントをロックしてもらうよう依頼したり、削除したり、クレジットカードの不正利用であればカード会社にその旨届け出ることで補償を受けられることもあります。

 

さて、警察は、被害届に記載された被害事実の内容や証拠の程度を考慮にして、捜査に当たります。

警察が速やかに動いてくれるケースとしては、被害事実が客観的にみても重大であるか、不正アクセスであるという犯罪行為の明確さと規模、損害の程度、迅速に捜査を進めるための証拠がどの程度揃っているか、などを重視するようです。

不正アクセス被害が多発する一方で、対応する警察にもマンパワーの限界がありますので、効率的に対処する姿勢をもちます。

したがいまして、被害届を提出したが、警察が動いてくれないこともあるでしょう。

そのような場合は、警察に随時連絡して、捜査の進捗を確かめるとともに、刑事告訴をすることもあり得るでしょう。

 

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不正アクセスによって、具体的な権利侵害が発生し損害賠償を請求した場合は弁護士にご相談を

不正アクセス(なりすまし、乗っ取り)によって、損害が生じた場合は、相手に損害賠償請求をすることができます。

ただし、ここでも注意が必要なのが、①損害賠償請求をするためには、相手の氏名と住所が必要であること、そして、先ほどご説明した通り、②相手の氏名と住所を知るためには、基本的に発信者情報開示請求をすること、③発信者情報開示請求をするためには具体的な権利侵害の明白性が必要です。

②③をクリアして始めて、損害賠償を請求できる準備が整います。

どのような法的根拠で、どう対処すべきかというアドバイスを受けるためには、弁護士へ相談することをお勧めします。

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