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闇バイトによる犯罪には非常に重い刑罰が待っている

SNS上で実行役を募り、強盗事件等の強行犯を行い、場合によっては被害者への暴行も厭わないいわゆる闇バイトが連日報道されています。

一昔前までは、闇バイトによる犯罪行為など想像もつかなかったでしょう。

しかし、インターネットが普及し誰でも気軽にSNSにアクセスできる現代では、目先の金欲しさに、簡単に犯罪行為に加担してしまうのです。

更に、最近では免許証等の個人情報を送付させた後で初めて闇バイトであることを明かし、やめようとすると家族を殺害する等と脅して半ば強引に犯罪に巻き込むケースが多いようです。

闇バイトで成立し得る犯罪や実際に犯罪行為をしてしまった場合の対処について簡単にご紹介します。

 

闇バイトの実態

高額報酬をうたう闇バイトは、多くが犯罪に関与させられるものであり、1回でも応募してしまうと、個人情報を握られ、犯罪組織から抜け出すことができず、次々と犯罪を重ねてしまうことになります。

実際、報道の中には、「家族への危害を告げられ、個人情報も提供済みだったので断ることができなかった」などと供述している実行役もいます。

こうした闇バイトの募集は、一般サイトではなく、SNS上で募集をかけ、それを見た比較的若い世代が応募をし、仕事(犯罪行為)内容について指示を受け、実行に移します。

当然、まず逮捕されるのは実行役であり、ヒエラルキーの上にいる人(指示役)が逮捕されることは少ないのです。実行役が逮捕されれば別の実行役を募集すればいいわけで、指示役からすれば、実行役はいわば使い捨てです。

 

闇バイトで行われる犯罪によっては非常に重い刑罰が科される

犯罪の種類は、様々ありますが、特に闇バイトで行われる犯罪としては、オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺、自分名義の銀行口座を他人に売却する口座売買、他にも強盗関連もあります。

例えば、闇バイトの内容が他人の家に行って現金を受け取るという「受け子」、又は受け取ったキャッシュカードを使ってATMでお金を引き出すという「出し子」(それぞれU=受け子、D=出し子という隠語でネット募集される)は、詐欺罪(刑法246条。10年以下の懲役)や窃盗罪(刑法235条。10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

さらに、他人のクレジットカードを使って指示された口座に振込送金した場合には電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2。10年以下の懲役)に問われる可能性もあります。

その他にも、他人のアカウントでなりすまして物品を購入すれば不正アクセス罪、他人の家に入って強盗に及べば強盗罪(刑法236条)の罪が成立します。

この中でも強盗罪関連は非常に罪が重く、強盗の機会に被害者に怪我を負わせれば強盗致傷罪、結果として死なせてしまえば強盗致死罪となりますし、無期懲役となれば20代で捕まったとしても、行きて刑務所から出られるかすら疑わしく、人生を棒に振ってしまうことになりかねません。

法定刑は、強盗は5年以上の有期懲役、さらに強盗の際に住人に怪我を負わせたり死亡させたりした場合は、強盗致傷罪(刑法240条前段)として無期又は6年以上の懲役強盗致死罪(刑法240条後段)として死刑又は無期懲役となる可能性があります。

 

 

 

 

「闇バイトと知らなかった」「脅されていた」で罪は逃れられる?

犯罪が成立するためには、自身の行為が犯罪になることを認識した上で、それでも実行することが必要です。これを実務上、犯罪の故意といいます。

ここでいう認識についてですが、この犯罪をしているという具体的なことまでは要求されず、これって犯罪じゃないの?という程度の故意でも故意としては十分と判断される可能性があり、逮捕されます(刑法では「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と規定されており(刑法第38条第3項)、判例上も違法性の認識は犯罪の成立に必要ないものとされています。

闇バイトであることを知らなかったと主張しても、それで刑罰を免れることは基本的にできません。

したがって、労力に比して著しく高額な報酬でのアルバイト募集であったり、申込手段が電話などでなくDMであったりと普通のバイトの申し込み手順と異なったり、連絡手段としてテレグラムやシグナルなどのよく犯罪に利用されるアプリでの連絡を求められた場合には、その時点で闇バイトであると疑い、身の回りの方や警察などの第三者に相談しましょう。

闇バイトに関与してしまったら弁護士に相談か警察に出頭を

目先の利益にとらわれて闇バイトに応募してしまった場合、実際に犯罪行為に加担してしまった場合であっても、逮捕されることになります。

闇バイトに関連する犯罪は先ほどご紹介した通りですが、いずれもたった1回の応募ないし犯罪行為で非常に重い刑罰が科されるものばかりで、厳しい処分は免れないでしょう。

しかし、一度足を突っ込んでしまった場合には、そして闇バイトから抜け出したいと真摯に考えるならば、早々に弁護士に相談するか、警察に自首出頭しましょう。

弁護士に相談し、早期に弁護活動を行ってもらえれば、少しでも軽い処分を得られる可能性がありますし、取調べに対するアドバイスを受けられます。

 

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