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【動物の法律問題】ノーリードで散歩したら罰則はあるのか?目撃したら通報するべき?

新型コロナウイルスの蔓延により、引きこもり需要が高まると同時に、ペットの需要も高まっているという報道を聞いたことがある人もいると思います。

また2025年に開催予定の大阪万博でもペット同伴に関して議論がなされています。

このようにペットというのは、私たち人間にとって一昔前に比べるとより身近な存在になっているといえ、街中を歩いていれば、犬を連れて散歩する人を見かける人もいるかと思います。

しかし、その中に、大多数ではありませんが、犬をリード無し(いわゆるノーリード)で散歩されている人もおり、犬が苦手な方からすると怖い思いをすることでしょう。普段から犬を飼っている人からしても、ノーリードで散歩させている人がいたら犬飼っている人全員が、そういう目で見られてしまっては迷惑と感じるかもしれません。

 

 

ノーリードは法律違反に当たりうる

結論から申し上げますと、ノーリードは、動物愛護管理法違反となりうる行為です。

動物愛護管理法とは、みだりに動物を虐待することのないようにするのみならず、人間と動物が共生できる社会の実現を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うことを基本原則とする法律です。

ノーリードに関して、動物愛護管理法の規定では、第7条1項で、「動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と規定されています。いわゆる努力義務が定められています。

明確にノーリードを禁止すると記載されているわけではありませんが、この条文中の「人の生命や身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。」とあるように、ノーリードは人の生命や身体に害を加え、生活に支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼす行為に当たり得るといえます。

 

動物愛護管理法に違反したら罰則はあるの?

動物愛護管理法に違反した場合、罰則に関しては、犬などの愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた場合の罰則規定はありますが(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)、ノーリードをしたことに対する罰則は規定上ありません

 

各自治体の条例に違反する場合も

しかし、各自治体ではノーリードを禁止しているところがほとんどであり、例えば、東京都では、条例により犬の放し飼いは禁止されており、飼い主としての遵守事項に違反した場合は、拘留又は科料に処せられます(東京都動物の愛護及び管理に関する条例第40条)。

 

動物愛護管理法以外に、法的責任が問われる可能性も

動物愛護管理法ではノーリードで散歩することに関して正面から禁止する規定はありませんが、もしノーリードで散歩している途中で、犬が突然走り出し、通行人に怪我を負わせたり、他の犬に噛みついて怪我をさせたりした場合は、民法上の不法行為責任を負い、損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

 

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ノーリードを目撃したらどうする?

さて、街中でノーリードで散歩している人を目撃した場合、どう対処すればよいのでしょうか。

 

その場から離れるか、注意するか、警察などに通報するか

選択肢としては、主に3つでしょう。その場から離れるか、ノーリードをしている飼い主に注意するか、警察などに通報するか、です。

その場から離れる選択は最も安全でしょう。ノーリードということは犬が突然走り出してもその飼い主は制御できないわけですから(犬の個体や性格にもよります。)、自分が怪我をしないためにも、まずはその場から離れた方がいいかもしれません。

またノーリードの人であっても、法律違反や法的責任が生じる可能性があることを知らない可能性もあるでしょう。話せばわかってくれる人もいるかもしれません。注意をしてノーリードを改めてくれるのであれば注意で終わらせられるかもしれませんが、最初にとる対処としてはお勧めできません。知り合いとかであればいざ知らず、全くの赤の他人であれば注意したところで聞く耳を持たないでしょうし、かえって激高して怪我を負わされる可能性もあります。

では、ノーリードで散歩している場所が公園であれば公園の管理事務所に連絡するのはどうでしょうか。これについては、公園の管理事務所には特に警察のような権原があるわけではありませんので、見回りの際に見かけたら注意をする程度で終わるでしょう。

それなら警察に通報するのはどうでしょうか。状況からノーリードでの散歩が明らかに危険であると感じたら、通報してもよいでしょう。しかし、通報すれば瞬間的に警察官が臨場するわけではありませんし、警察官が来るまでにノーリードで散歩している人は立ち去るかもしれません。状況的に録画できるのであれば警察に示すためにもしておいた方がいいでしょう(ただし、それをSNSにアップして吊るし上げるような真似はやめましょう。場合によっては名誉毀損などの法的責任を負う可能性があります。)。

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