COLUMN

コラム

初めての刑事告訴:準備すべきことと手続きのコツ

犯罪被害に遭い、犯人に刑事責任を負わせたいので、被害届よりも強い効果がある刑事告訴をしたいけど、何を準備すればよいのか、手続はどう進んでいくのか、刑事告訴に関してわからないことが多くあり方もいらっしゃると思います。

そこで、初めて刑事告訴をする際に、必要な準備や具体的な流れ、注意すべきポイントを深掘りしていきます。

 

手続きの概要

刑事告訴とは、犯罪被害者やその法定代理人が、捜査機関に対して犯罪被害事実を申告し、犯人の処罰を求める法的手段です。

被害届とは異なり、刑事告訴が受理されると、捜査機関に捜査が義務付けられますが、被害届よりも受理のハードルは高い傾向にあります。

 

告訴手続のステップ

1 事前準備

法律上、告訴に証拠は必須ではありませんが、実務では証拠の提出が求められます。そのため、以下のような証拠を十分に揃えることが重要です。

メールやSNSのやり取り
被害品に関する写真
録音データや監視カメラ映像
第三者の目撃証言

 

また、証拠を収集しながら犯罪事実を整理する必要があります。具体的には、詐欺罪や名誉毀損罪など、どの罪で刑事告訴できるのかを特定します。

犯罪には成立要件(これを構成要件と言います。)があります。例えば、詐欺罪では以下が主な構成要件です。

欺罔行為(人を欺く行為)
(欺罔行為の結果)被害者が錯誤に陥ること
(錯誤に陥った結果)被害者が財産を交付すること

 

 

2 告訴状の作成

証拠が揃い、事実整理ができたら、告訴状を作成します。

告訴状は定められた形式はありませんが、ネットや書籍にある書式を参考にすると良いでしょう。

ここで注意が必要なのが、

客観的かつ冷静に事実を記載する
正確な情報を記載する
感情的な表現や誇張表現は避ける

感情的な表現は警察に好印象を与えるわけではなく、誇張表現は信頼性を損なう可能性があります。

 

3 告訴状の提出

告訴状の提出は、刑事告訴手続きの中で最も重要なステップです。

最寄りの警察署や犯罪発生場所を管轄する警察署に提出しますが、「証拠が足りない」「記載方法が間違っている」などの理由で受理を拒まれることがあります。当事務所にもそのような相談が多く寄せられています。

ただし、捜査機関には告訴を受理する義務があります。粘り強く交渉すれば、最終的に受理されることが多いですが、弁護士が代理で提出しても、同様の対応を受ける場合があります。実際に当事務所でご依頼されたケースで言いますと、1回目で受理される場合もあれば、半年以上かかったケースもあります(ただし、全てのケースで受理に至っています。)。

受理されない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 刑事告訴は難しい?受理される確率は?

♦ なぜ?警察が刑事告訴の受理を断る理由

♦ 実効性のある刑事告訴をするために~弁護士の選び方と依頼するメリット

 

4 受理後

刑事告訴が受理されると、捜査機関は捜査を開始します。

捜査の進捗や犯人逮捕の可否は、全て警察の判断次第であり、告訴人が関与するのは事情聴取を受け被害者側の調書を作成したり詳細な事情を度々尋ねられることがある程度です。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 刑事告訴の流れ~告訴すれば必ず犯人が逮捕されるわけではない

♦ 刑事告訴したら、犯人は逮捕されるの?

♦ 告訴人が告訴受理後の事情聴取(取調べ)で気を付けること

 

5 起訴・不起訴の判断

警察の捜査によって犯人が特定され、検察に送致後、検察官は犯人を起訴するか、不起訴にするかを判断します。

途中で加害者側弁護人から示談の話をもちかけられることもあります。示談を受けるか断るかは自由であり、弁護士に依頼して窓口になってもらうことも一つの方法です。示談をする場合は、納得のいく形で進めることが重要です。

ただし、示談金目的で刑事告訴をした場合、捜査機関からすれば示談してしまえば取り下げることになり、捜査を打ち切らなければならず、そうなると今までの労力や時間が無駄になるということで難色を示すことがあります。

 

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 刑事告訴をするにあたって、知っておいて欲しいデメリット

♦ 加害者から示談の話が…。被害者が注意すべきポイントとは?

 

まとめ

刑事告訴は、被害者が自らの権利を守り、加害者の処罰を求めるための重要な法的手続です。

適切な証拠の収集や告訴状の作成が求められるため、弁護士のサポートを得ることが成功のカギとなります。

刑事告訴に関するお困りごとがあれば、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 投資詐欺被害で刑事告訴が受理された事例

♦ 業務上横領被害で刑事告訴をしたところ、警察が長期間受理しない対応であったため、公安委員会等へ苦情申入れをしたところ、告訴が受理された事例

♦ インターネット上の動画配信サイトで誹謗中傷の動画が配信され、名誉毀損罪で刑事告訴が受理された事例

 

コラム一覧