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遺言などで遺留分を侵害された相続人がとるべき対応

遺留分とは

2019年に相続法が改正されました。今回は、その内の遺留分について、簡単にですが、以下に記したいと思います。

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続できる財産を言います。

なので、例えば、遺言で遺産のすべてを〇〇に相続させるという内容の記載があっても、〇〇以外の相続人は遺留分を主張すれば、最低限の遺産を取得することができます。

2019年の法改正と名称の変更

これまで相続人が他の相続人の遺留分を請求した(遺留分減殺請求)場合、他の相続人は相続財産に対して物的権利として遺留分減殺請求をしていました。例えば、相続財産に不動産が含まれていた場合、遺留分減殺を請求することで、その不動産は共有名義の状態となり、現金化したい遺留分権利者(遺留分を請求し受け取る権利を有する者)は、この共有状態を解消して、売却なり自分の共有持分を買い取ってもらうなりする必要がありました。

しかし、2019年の法改正により、遺留分の権利を行使することで、原則として金銭による請求が可能となり、また名称も遺留分侵害額請求権に変わりました(民法1046条など)。

遺留分と法定相続分との違いは?

法定相続分は、民法で定められている相続財産を相続する割合を指しますが、一方で、遺留分は、最低限の相続財産の割合を指します。遺留分はあくまでも権利ですので、それを行使するかどうかはその人の自由です。行使しない人や以下に述べる時効期間を過ぎてしまった人に対する保護はありません。

なので、遺言の内容に不満がある遺留分権利者は、遺留分侵害額請求権を行使しなければ、最低限の相続財産を得ることはできません。

遺留分侵害額請求権は誰に意思表示をすればよい?

結論から言いますと、遺留分侵害額請求権の相手方は、遺留分を侵害した人です。先ほどの「遺言で遺産のすべてを〇〇に相続させる」という内容の遺言があったという例で言えば、〇〇さんに遺留分侵害額請求権の意思表示を行うことになります。

遺留分侵害額請求権の意思表示の方法

基本的には、①配達証明付き内容証明か、②家庭裁判所に調停を申し立てる、のどちらかですが、実務上は、通常、①配達証明付き内容証明を送るのがほとんどです。

遺留分侵害額請求権は時効に注意!

最後に注意点ですが、遺留分侵害額の請求期限、つまり時効は、相続人が、相続の開始または遺留分の侵害があったことを知った時から1年、または相続開始時から10年経過すると、遺留分侵害額請求権は時効により消滅します(民法1048条)。

なお、遺留分侵害額請求権を期間内にしたとしても、それにより発生する金銭支払請求権は、原則5年で時効により消滅しますので(民法166条1項1号)、遺留分侵害額請求権を行使したからといって安心できません。

遺留分のみならず相続の案件は、相続人間での揉め事や、争点が多岐にわたることが多々あります。そのような場合には是非ご相談下さい。

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