弁護士費用以外に強制執行にかかる費用について

債権回収のご相談の中に、弁護士費用以外にも費用がかかるんですかというお声をいただくことが多いです。
確かに、裁判所の判決等で債務名義を得て、弁護士に依頼した上で裁判手続で債権回収を図ろうとした場合、その費用はどれくらいかかるものなのか気になると思います。
もちろん債権額によって異なりますが、最終的に赤字になるリスクがあります。
強制執行にかかる費用には大きく2つある
まず強制執行にかかる費用としては、2つあります。弁護士費用と裁判費用です。
弁護士費用については、法律事務所や弁護士によって異なりますので、ご相談の際に直接お問い合わせください。また弁護士に依頼せずに、ご自分で手続をする際には弁護士費用はかかりません。
債権差押命令申立てと不動産競売申立てで共通してかかる費用
前提として、強制執行をするためには執行力のある債務名義が必要です。
債務名義とは、強制執行をする根拠となる債権債務等を記載した公文書をいいますが、例えば、確定判決、仮執行宣言のある判決、公正証書(執行証書)、仮執行宣言付支払督促などがあります。
債務名義の種類によって執行文が必要となるものもあれば、執行文付与は必要なく強制執行を行うことができるものもあります。
執行文が必要となる場合、判決文に執行文を付与してもらわなければなりません(判決文そのものを債務名義にすることはできません。)。
そして、強制執行の手続に必要な書類に執行文が付与された判決文と送達証明書が必要です。
執行文付与と送達証明書は裁判所に申し立てるのですが、その際は印紙300円と150円が必要です。強制執行をするためにはまずこれらを裁判所から取得することが重要です。
債権その他財産権差押命令申立てにかかる裁判費用
債権その他財産権に対する差押命令申立てにかかる裁判費用としては、次のようなものがあります。
- 申立手数料(収入印紙)
- 郵便切手
申立手数料は、その名の通り申立てにあたっての手数料です。収入印紙4000円分が必要となります。
また手続を進むにつれ、裁判所が当事者に郵便物を発送するための切手も必要です。東京地裁は、債権者1名、債務者1名、第三債務者1名の場合は4010円が必要となります。
その他必要に応じてかかる費用
申立手数料と郵便切手は申立てにあたって必ず要りますが、その他、例えば当事者一人が法人であった場合は、資格証明書(法務局で1通600円で取得)が必要です。
また郵便切手に関しても、基本は4010円ですが、債務者が1人増えるたびに1290円、第三債務者が1人増えるたびに1990円(陳述催告なしの場合は1290円)がそれぞれ加算されます。
もっともこれら費用は申立てにあたって差押債権額に含めることができます。
不動産競売の申立てにかかる裁判費用
不動産に対する競売申立てにかかる裁判費用としては、次のようなものがあります。
- 予納金
- 申立手数料(収入印紙)
- 郵便切手
- 差押登記のための登録免許税
予納金は、裁判所に納める費用の一つですが、不動産競売の場合、競売実行までの手続で様々な費用が発生します。例えば、差押えの嘱託登記手続、不動産評価証明書の作成費用、売却実施処分公告のための費用などがあります。こうした予納金を事前に納付する必要があります。また、不足が発生した場合は追加で支払うこともあります。
この予納金は、請求債権額によって金額が決まっており、請求債権額が2000万円未満の場合は80万円、2000万円以上5000万円未満の場合は100万円、5000万円以上1億円未満の場合は150万円、1億円以上の場合は200万円となります。
申立手数料ついては債権その他財産権と同じ4000円です。郵便切手については110円です。
不動産特有ですが、競売開始決定となった際には差押登記をすることになります。そのための登録免許税も必要となり、納付額は確定請求債権額の1000分の4となります。
強制執行にかかる費用は弁護士費用だけではない
このように、強制執行にかかる費用は弁護士費用だけではありません。
債権その他財産権であれば数千円で済みますが、不動産であれば予納金や登録免許税も発生します。
強制執行は債権回収の最終手段とも言われていますが、費用対効果を考えると、強制執行することにリスクがある(費用倒れになる)案件もございます。
請求金額が低額である場合は、債務名義を得るに至るまでに、和解(裁判上の和解も含む)で解決した方が債権回収が現実的なケースが多いです。
強制執行に踏み切るかは、慎重な検討と判断が必要となりますので、債権回収をするかお悩みの方はお気軽に当事務所にご相談ください。