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ペットは誰のもの?離婚/同棲解消後の引き取り問題

はじめに

離婚又は同棲を解消する際、さまざまな問題が生じますが、その中でも特に感情的になりやすいのがペットの引き取り問題です。ペットは法律上「物」として扱われますが、飼い主の感情としては、単なる所有物ではなく、家族の一員とみなされる存在です。

そのため、どちらがペットを引き取るかという議論は感情的になりやすく、時には法的な問題にまで発展することもあります。

今回は、離婚/同棲解消後のペットの引き取り問題における主な争点とその解決策についてご紹介します。

 

ペットの引き取り問題が複雑になる理由

1 感情的なつながり

コロナ禍の影響もあり、今では家族の一員という認識が広がり、飼い主にとって精神的な支えともなり得る存在です。そのため、双方が「引き取りたい」と主張し合うことが多く、話し合いが難航する場合があります。

 

2 法的扱いの難しさ

ペットは命あるものではありますが、法律上の扱いではとなります。しかし、先ほどご紹介したとおり、ペットに対する感情的なつながりや価値、動物福祉の観点から考えると、単に所有権の問題だけでは済まないことが往々にしてあります。

 

3 動物福祉の観点

ペットの引き取り問題では、そのペットにとって何が幸せなのか、適した環境はどういう環境であるのかを考慮しなければなりません。ペットであっても病気にり患しますし、環境が変わるだけでストレスになるペットもいますので、こうしたケアを提供できるかが重要になります。

 

離婚後の引き取り問題

民法上の区分では、ペットは動産として扱われます。

そのため、結婚後にペットを飼い始めた場合は原則として財産分与の対象となり、協議のうえどちらが引き取るかを決めることになります。ただし、引き取った側は、家財道具とは違い、ペットは命あるものですので、動物愛護管理法に基づく責任を負うことになります。

離婚協議と同時に、又はその後に、ペットをどちらが引き取るかが決まれば自治体等に届け出る程度で済みますが、協議がまとまらず裁判手続となった場合は、どちらがペットの購入費用を支払ったか、安定した収入と仕事であるか、世話をするのに適した環境にあるのはどちらかなど客観的に判断されることになります。

なお、夫婦どちらか一方が結婚する前からペットを飼っていた場合は、特有財産となりますので、その者が引き取るのが原則的です。

 

ペットに関する面会交流・養育費

これまでご紹介した内容から「相手に引き取られたペットと定期的に会いたい。」、「引き取ったのだから、ペットの養育費も請求したい。」とお考えになるかもしれませんが、法律上の権利として、ペットに対する面会交流や飼育に要する費用は認められていませんので、ペットと会わせるよう請求する権利や費用請求権はありません。

 

 

同棲解消後の引き取り問題

結婚しておらず同棲している場合(内縁も含む)、同棲解消後は協議によりどちらが引き取るかを決めます。

ただし、協議によりまとまらなかった場合は、離婚とは違い、ペットは財産分与の対象にならず、法的手続で言えば共有物分割手続になります。

共有物分割手続における分割類型は3つあります。

  • 現物分割(共有物を物理的に分ける)
  • 換価分割(共有物を売却し、売却代金を共有者で分配する)
  • 価格賠償(共有者の単独所有とし、単独所有者は他の共有者に賠償金を支払う)

 

一般的な分割類型は以上の通りですが、ペットの引き取り問題では専ら価格賠償になるでしょう。

酷な話ですが、ペットの経済的価値は、一般的に購入した価格や同種の販売価格が基準となりますが、こうした市場価格は参考にならないことが多く、事実上、ほとんどないに等しいと考えてよいでしょう(当然ですが、現物分割は物理的に分ける話ですし、第三者に売却して売却代金を得るという換価分割はあまり現実的ではない話です。)。

そのため、とり得る分割類型としては通常は価格賠償になります。

 

解決策と考慮すべきポイント

1 事前の合意

同居又は同棲を始める段階で、ペットに関する取り決めを書面化しておくことを検討しましょう。その段階から、別れた場合の話をするのは考え難いですが、どのような条件の下、共同で飼育するか、ということだけでも両者で合意しておくことも必要でしょう。

 

2 話し合いと妥協

どちらが引き取るのかについては、ペットの福祉を最優先に考えることが大切です。感情的な場面になりやすいですが、必要に応じて、第三者を交えて話し合いを進めると良いでしょう。

 

3 法的な解決

話し合いがまとまらない場合、裁判手続を通じて解決する選択肢もあります。ただし、法的な解決によれば、費用や時間がかかることはもちろん、希望した結果になるとは限りませんので、可能な限り話し合いで解決するのが理想的です。

 

4 ペットに最適な環境を優先すべき

引き取り後にペットが幸せに暮らせる環境を提供できるかどうかを基準に考えることが大切です。例えば、ペットの週間や生活リズム、健康状態を考慮し、より適切な環境を整えることができる方が引き取るべきでしょう。

 

まとめ

離婚又は同棲解消後のペット引き取り問題は、感情的かつ法的な側面を含む複雑な課題です。しかし、ペットの福祉を最優先に考え、冷静になることで、双方が納得できる解決策を見つけることが可能です。事前の取り決めや冷静な話し合いを心掛け、ペットが幸せに暮らせる道を作ることが何より重要です。

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