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債権回収を公正証書に基づいて行うメリット

はじめに

お金の貸し借りで、相手に返金を求めても支払ってくれない場合、多くの方がまず思い浮かべるのは「強制執行」ではないでしょうか。

強制執行の一般的な前提手続としては、訴訟を提起し、勝訴判決を取得することが必要になります。

しかし、訴訟には時間も費用もかかり、最終的に回収できる金額が弁護士費用や裁判費用を下回ってしまう可能性があります。

そのため、貸付金額や費用対効果をよく検討しないと、「結果的に赤字になってしまう」リスクが高いのも事実です。

 

公正証書による債権回収

公正証書は裁判とは別ルートで、いきなり強制執行を可能にすることも可能となる重要な書面です。

具体的には、公証人が作成する公文書であり、これに「強制執行認諾文言(債務者が強制執行を受けることを承諾する文言)」が付されていれば、判決と同様の執行力を持ちます。

この点が、公正証書を利用した債権回収の大きな魅力となります。

 

公正証書の2つのメリット

公正証書とは、公証人が当事者間に一定の法律関係が存在することを認めた上で、これを公的に認証するために作成する公文書をいいます(公証人法1条1号)。

法律上の定義はこのようになっていますが、公正証書は公証役場で公証人によって作成される公文書という認識を持っていれば問題ありません。

 

このような公正証書には主に2つの効果があります。

  • 証拠力
  • 執行力

 

証拠力

多くの契約の場合、一般的には、A4又はA3の紙にワード等で作成した契約書2通に当事者が記名押印することで、契約が成立したことを証明することができます。

しかし、後に紛争となった場合、相手(債務者)が契約の存在を否定する主張をしてくることがあります。そんなことあるの?と思うかもしれませんが、裁判実務では、契約書がない場合は特に、起こり得ます。そうなると、ケースにもよりますが、基本的に債権者としては契約が成立したこと自体から主張立証していかなければなりません。

しかし、契約を公正証書で作成した場合、相手の上記主張はまかり通りません。公正証書は、法律上、真正な文書と推定されるからです(公証人法2条)。

つまり、公正証書には、債権者において証明を要さない程の証拠力を有しているのです。

 

執行力

公正証書に基づいて強制執行をするためには、単に公正証書で作成されているだけでは足りません。その内容についても重要となります。

民事執行法は、「強制執行は、金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものにより行う。」としています(民事執行法22条5号)。

このことから、形的には公正証書であっても、「債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの」でない場合は強制執行することができません。

このように「強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの」を強制執行認諾文言といい、これが公正証書であれば強制執行認諾文言付公正証書となります。

こうした強制執行認諾文言付公正証書は、トラブルを避けるためにも、当事者が公証役場に行き作成することができますので、訴訟を経るよりも費用を抑えることができます。

 

執行文を付与してもらう必要がある

強制執行認諾文言付公正証書であっても、実際に強制執行の手続をするためには、執行の開始要件である執行文を付与してもらう必要があります。

執行文付与の申立ては、公正証書の場合、裁判所ではなく、公証役場に申し立てますので、間違わないようご注意ください。

また執行文付与の他に、証書が債務者に送達されたことを客観的に証明する送達証明書も執行するにあたっては必要となりますので、執行文付与とセットで申立又は申請すると覚えておくと良いでしょう。

 

最後に

債権回収の備えとして、公正証書を作成しておくと、いざという時は速やかに強制執行に着手することができます。

ただし、公正証書を作成するには、契約当事者(債権者と債務者)双方が公証役場に出向いて作成しなければなりません。

実際にどのような文言で公正証書を作成するべきなのかなどについては、公証役場はもちろん、弁護士も相談・作成することができますので、債権回収への備えとして公正証書を作成したいとお考えの場合は、お気軽に当事務所までご相談下さい。

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