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刑事告訴を受理してもらえるために自分でできること

被害に遭われた方が警察などの捜査機関に対して刑事告訴をしても、証拠不十分だとか、民事で解決できるなどの理由から告訴を受理しないことがあります。

以前のコラム「刑事告訴の概要と、告訴を警察に断られた場合の対応」では、告訴を警察に断られた場合の対応について記しました。

今回は、告訴状を捜査機関に提出する前に、被害者の方やその関係者ができることを、一般的にまとめてみました。

 

告発との違い

告訴とは、被害者が犯罪の被害に遭ったことを申告し、犯人の処罰を求める意思を示すことをいいますが、告発とは、被害者以外の第三者が犯人の処罰を求める意思を示すことをいいます。

 

告訴できる人(告訴権者)

告訴できる人(告訴権者)は、刑事訴訟法230条以下に定められています。

被害者(刑事訴訟法230条)、被害者の法定代理人死者の配偶者・直径親族・兄弟姉妹(いずれも同法231条)、被害者の親族(同法232条)、死者の親族又は子孫(同法233条)、検察官が指定した者(同法234条)

これら告訴権者から代理権を授与された代理人による告訴も可能です。

 

告訴期間(刑事訴訟法235条)

名誉毀損罪や侮辱罪、器物損壊罪といった親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月以内にしなければなりません。

犯人を知ったとは、一般的に、住所氏名まで把握する必要はなく、他者と区別して犯人であると特定できる程度のことが必要です。

また、告訴期間の制限とは別に、公訴時効期間の制限もありますので、ご注意ください(例えば、刑事上の名誉毀損罪については、3年の公訴時効が設定されています(刑事訴訟法第250条第2項第6号))。

告訴状を提出するまでに用意すること

告訴状の作成

告訴状には、タイトル(告訴状)、提出年月日、提出先、署名捺印欄、告訴人と被告訴人の表示、(代理人による提出であれば代理人の表示)、告訴の趣旨、告訴事実(告訴に至る経緯)、法的評価、添付する証拠資料を記載します。

 

提出先

犯罪が起きた場所や被害者や加害者の居住地を管轄する警察署を提出先とするのが一般的です。

 

被告訴人の表示

氏名住所など特定できれば良いのですが、事件によっては、客観的な証拠によっても犯人の特定が難しい場合も十分にあり得ます。しかし、犯罪事実が明らかであれば、犯人を特定できずとも、告訴を行うことはできます。そのような場合は、「氏名不詳、住居不詳」と記載することもあります。

 

告訴の趣旨

告訴の趣旨とは、被害者の方が犯人を処罰してほしいという意思表示を明らかにするために必要な項目です。一般的には、「被告訴人の犯罪事実に記載した行為は、刑法●条(●罪)に該当すると考えますので、被告訴人に対する厳罰な処罰を求め、告訴する。」という文言です。

 

告訴事実(告訴に至る経緯)・法的評価

告訴の趣旨で記載した被告訴人の犯罪行為について、「いつ、どこで、誰が、誰に、何を、したのか」を意識して、犯罪の構成要件と照らし合わせながら、理路整然と事実を記載します。

 

証拠資料の収集

告訴状の作成にあるとおり、告訴状を提出するにあたっては、客観的な証拠を添付する必要があります。中には、目撃者の記憶や防犯カメラの録画データなど、時間の経過とともに無くなってしまうものもあります。

そのような事態を避けるためにも、なるべく早く客観的な証拠を収集し、告訴状提出まで厳重に保管し紛失しないようにしましょう。

 

提出先に記載した警察署へ告訴状を提出

告訴状を作成し、証拠資料も十分に収集できたところで、提出先に記載した警察署へ告訴状と証拠資料を提出します。

提出前に告訴状が受理されるか不安な方や、提出したけど受理されず困っているという方は、冒頭で紹介しましたコラム(刑事告訴の概要と、告訴を警察に断れた場合の対応)でも対処方法などについてお伝えしていますので、ご覧ください。また事前に警察署や弁護士に相談するのも良いでしょう。

 

最後に

ここまで告訴状を提出するまでの一般的に用意するものを説明しました。犯罪被害者に遭われた方で告訴しようにも難しそうと思われている方、捜査機関に告訴状を提出したが受理してもらえなかった方も、是非ご相談ください。

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