投資詐欺被害に遭った時の対処方法
投資詐欺被害に遭われた方は、今まで支払った分は返ってくるのか、返して貰うためにはどのような手続をすればよいのか、お困りのことかと思います。
特に、投資詐欺では被害金額が高額となることも多く、当事務所で過去取り扱った案件でも、数千万円の被害でも凄い額ですが、数億、場合によっては(複数人での合計)数十億という投資詐欺案件もございました。
結論をお伝えしますと、民事で被害に遭った金額の返金を求めることもできますし、刑事で刑事告訴をすることもできます。
刑事告訴の概要などについては、過去のコラム(刑事告訴の概要と、告訴を警察に断れた場合の対応)でお伝えしていますので、そちらをご覧ください。
今回は、民事の面から被害金の一般的な回収方法について、記したいと思います。
投資詐欺の対象になりやすい資産
投資詐欺のネタにされやすい資産は、様々ありますが、客観的な市場が存在しないとされる未公開株式、不動産、仮想通貨、情報商材などが一般的に多いです。
詐欺被害に自分が遭っているのかどうなのかわからない場合
これは詐欺被害に遭ったことがない方からすると意外かと思われるかもしれませんが、被害者自身が「詐欺被害に遭っているかどうか分からない。」との相談が来ることがあります。
何故被害者自身で判断が出来ないのかというと、そういったケースの被害者の方が口を揃えておっしゃるのが、
「まだ出資先(や紹介者)とは連絡が取れている(けれども最近連絡が段々遅くなってきてついにほとんど返信がなくなってきたので心配になって弁護士に一応相談してみた)」
「最初の何回かは約束の配当が振り込まれて、追加で資金を投入したら数ヶ月後から、「口座が急に凍結されて今トラブルになっているが、銀行に説明すれば大丈夫だからもう少し待ってほしいと言われている。」
「税務署から調査が入って今は資金移動するとまずいが、もう数ヶ月すれば配当を再開できるし出資金も全額返せると言われている。」
などと詐欺師が様々な目先の嘘をつき続けつつ、被害者との連絡をブロックしたりして完全に遮断することなく、フォローを行っていることから、「もしかしたら詐欺じゃないのではないか。」と良い方向に無意識のうちに考えてしまっていることが原因だと考えられます。
しかし、残酷な現実ですが、私の経験上、そのような相談のほとんどが、実際には詐欺であることが多いです(典型的なポンジスキーム詐欺はまさにこのような手口を採ることが多いです。)
民事で返金を求める一般的な方法
① 交渉
詐欺業者の連絡先などがわかっている場合は、協議して被害金の賠償を求めることになります。
② 支払督促
詐欺業者が支払いに応じなかったりした場合は、支払督促の申立てを検討するのもよいでしょう。支払督促を申し立てることで、裁判所が詐欺業者に返金するよう督促します。強制執行の手続を行うことも可能です。
ただし、相手方(詐欺業者)が事実関係を認めていない場合には、相手方から異議申立てがされ、それが認められる場合もあり、申立てが奏功しない場合もあります。
③ 訴訟
支払督促によっても返金が難しいようであれば、通常の訴訟で返金を求めることになります。この場合は、弁護士に相談すべきです。
訴訟前に詐欺業者や詐欺師の所有する不動産や高級車、預貯金など、見るべき資産がある場合には、訴訟中に売却されたり現金を隠されたりしないよう、仮処分を訴訟前に申し立てして、詐欺師の財産を仮差押することがあります
仮差押を行えば、
預貯金を引き出せなくなったり、
不動産であれば所有権移転登記や抵当権設定などの処分が禁じられたり、
動産(車や高級腕時計など)を売却できなくなったり、執行官が取り上げて保管することもあります。
また、詐欺師によっては、仮差押をされたままだと仮差押をされた物が売却できないから仮差押を何とか解除してもらおうと、仮差押えをした債権者に対して優先的に弁済をすることもあります。
④ 振り込め詐欺救済法による救済
裁判手続でなくとも、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律)に基づき、振込先口座に残高があれば、金融機関に申し出ることで一部返金を受けることができる可能性があります。
ただし、騙されて振り込んだ口座に残高があればのお話ですので、注意ください。
被害に遭ったらやるべきこと
前述のとおり、昨今の詐欺では徐々に詐欺師は連絡回数を減らしてフェードアウトしていくことも多いですので、投資詐欺だとはっきりと気付いたときには、加害者は既に行方をくらまし、なかなか尻尾を出さないことも多いです。
被害に遭ったと気付く、気付かない関係なく、普段から、相手とのやり取りや情報を逐一詳細に把握していれば問題ないのですが、被害に遭ったと気付いたときはすぐに警察や弁護士に相談するなど速やかな行動を取ることが重要です。
例えば、ご自身が詐欺業者とやり取りをしている中で、何か詐欺業者に関する情報(住所や氏名などはもちろん、口座番号や車のナンバー、電話番号、上司などの情報等、あればあるほどよいです)を偶然得たときにはメモをしておくか、文書であれば保管しておくなどして、後ほどその情報から辿れるようにしておくのがよいでしょう。
これら情報を掴むことで、弁護士や警察に相談する際には、客観的な資料として見せながら、ご自身の被害状況について説明ができますし、後々の法的手続に移行しやすくなります。
弁護士への相談もご検討を
投資詐欺の被害に遭った場合、なかなか一人では対応しきれないことも多くあると思います。投資詐欺被害でお困りの場合は、弁護士への相談をご検討ください。