リベンジポルノ被害に遭った時の対応
はじめに
リベンジポルノとは、復讐を目的として、性的な画像や動画を本人の許可なく公開することをいいます。
近年、SNSの普及に伴い、簡単にネット上に性的な画像等をさらされるという被害が多発しています。
今回はリベンジポルノ防止法の概要から被害に遭った場合の対処方法について、簡単に記したいと思います。
リベンジポルノによる問われる主な罪
こうした行為に対する罰則については、今回紹介するリベンジポルノ防止法以外に、わいせつ物頒布等罪(刑法175条)、名誉毀損罪(刑法230条)、児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ禁止法7条6項)などがあります。
わいせつ物頒布等罪(刑法175条)
→「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の者を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。」
名誉毀損罪(刑法230条)
→「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」
児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ禁止法7条6項)
→「児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」
リベンジポルノ防止法の概要
規制対象の私事性的画像記録とは
リベンジポルノ防止法によると、同法で規制される私事性的画像記録とは、性交又は性交類似行為をする人の姿態(法2条1項1号)、他人の性器、肛門、乳首を触る人の姿態で性欲を興奮・刺激させるもの(同項2号)、裸や下着姿など性器が露出・強調されている人の姿態で性欲を興奮・刺激させるもの(同項3号)、をいいます。
処罰行為と法定刑
① 公表罪(リベンジポルノ防止法3条1項及び2項)
第三者が撮影対象者を特定することができる方法により、インターネットを通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。また、同様の方法で、私事性的画像記録を不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列した場合も、同じ処罰となります。
② 公表目的提供罪(リベンジポルノ防止法3条3項)
公表行為をさせる目的で、インターネットを通じて私事性的画像記録を提供し、又はその記録物を提供した場合、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
その他法律で処罰などを受ける可能性
リベンジポルノ防止法に違反しなくても、刑法や児童ポルノ禁止法の他、民事上の責任として損害賠償請求を受ける可能性があります。
被害に遭った場合の対応
リベンジポルノ被害に遭った際は、主に以下の対応をすることが考えられます。
1 警察に相談する
→要件を満たせば、リベンジポルノとして、警察が捜査に動く可能性があります。その場合には、被害届や刑事告訴の手続を行いますので、詳しくは刑事告訴の概要と、告訴を断れた場合の対応や被害者と加害者にとっての被害届の有する意味をご覧ください。
2 画像等を削除依頼する
→投稿した犯人が分かっていて、犯人に削除依頼をすることが心理的にできるのであれば、削除の依頼をするのがよいでしょう。
→ただし、事案によっては弁護士が介入した方が良い場合もありますので、まずは弁護士に相談することをお勧め致します。
※リベンジポルノ事案では、犯人が被害者の方に対して恨みをつのらせていたり、あるいはリベンジポルノ行為をすることで被害者から再度連絡が来ることを期待して行われるケースが多いです。そのため、出来れば被害者本人から犯人に連絡するのではなく、弁護士や警察経由で連絡すべきです。
リベンジポルノの被害に遭われている方へ
リベンジポルノ被害は、大半が女性と言われていますが、中には男性が被害に遭うケースもあります。
もしインターネット上に自身の性的な画像や動画がアップされている場合には、被害拡大を防ぐために早急に対応する必要があります。また被害回復のため、加害者に対する慰謝料請求も検討することができます。
いずれにしましても、警察や弁護士などに相談することをお勧め致します。
当事務所では、過去に、ホテルに宿泊した際にカメラが何者かにより仕掛けられていて、それにより撮影された動画がインターネット上の動画共有サイトに投稿されていた事例、風俗のオプションで被害者の同意の元、性交場面を撮影した犯人が、被害者の同意なくインターネット掲示板上に被害者の顔が見える形で無修正の当該動画をアップロードした事例、いわゆるハメ撮りを許した犯人に、無断で掲示板上に当該動画を掲載された事例などを過去取り扱っておりますが、すべての事案において刑事告訴が受理され、犯人が逮捕されるなどしております。
リベンジポルノでお悩みの方は、動画や画像が拡散される前にすぐに当事務所にご相談ください。
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