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エステ契約をしたが、契約を解除してお金を返金してほしいとき

例えば、「店員に強く勧められて断りきれずに、美容エステや脱毛エステの契約を、契約期間1年、総支払額100万円の分割払いで契約をしてしまったが、後々になって冷静に考えてみると良く考えずにとても高額な契約をしてしまったと後悔してしまっています。契約を解除してお金を返してもらうことは出来ますか?」というご相談を度々受けることがあります。

今回は、こうした消費者トラブルを例に、消費者が採りうる手続について簡単にご紹介したいと思います。

 

特定継続的役務提供

冒頭の例のエステの他、語学教室、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室、家庭教師、美容医療の7つは、特定継続的役務提供とされています。

特定継続的役務提供とは、類型的に長期継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引として、現在では上の7つの契約類型がトラブルになりやすい類型として規制対象とされています。

そのため、スポーツジム、ヨガ教室、美容院は、特定商取引法上、特定継続的役務提供とされていないため、以下に述べるクーリング・オフは利用できません。

 

クーリング・オフ

こうした特定継続的役務提供は、法定の書面を受け取ってから8日以内に、書面又はメールなどで通知を出すことで契約をなかったことにすることができます。なので、お店から違約金などを請求されても基本的に支払う必要はありません。他方、入会金などを支払っている場合は、返金してもらうことができます。

 

クーリング・オフ期間を過ぎても中途解約できるか

特定継続的役務提供を対象とする契約は、クーリングオフ期間経過後であっても、契約期間中であれば、未使用の関連商品(ただし、購入するかについて自分に決定権があった場合や推奨商品は除く。)も含めて中途解約することができます。

つまり、クーリング・オフ期間を過ぎても、所定の金額を支払えば、契約を中途解約することができます

 

また、中途解約に伴い、お店からキャンセル料の支払いを求められることがありますが、以下のとおり、業種によって、また役務提供前後によって、キャンセル料金の上限が決められているため、心配する必要はありません。

※これを超える金額の請求や、契約書に違約金の条項があったとしても、拘束されません。

<開始前の場合>

・エステ 2万円

・美容医療 2万円

・語学教室 1万5000円

・家庭教師 2万円

・学習塾 1万1000円

・パソコン教室 1万5000円

・結婚相手紹介サービス 3万円

 

<開始後の場合>

・エステ  提供された役務の価格

+ 2万円又は契約残金の10%のいずれか低い額との合計

・美容医療 提供された役務の価格

+ 5万円又は契約残金の20%のいずれか低い額との合計

・語学教室 提供された役務の価格

+ 5万円又は契約残金の20%のいずれか低い額との合計

・家庭教師 提供された役務の価格

+ 5万円又は1ヵ月分の授業料相当額のいずれか低い額との合計

・学習塾  提供された役務の価格

+ 2万円又は1ヵ月分の授業料相当額のいずれか低い額との合計

・パソコン教室 提供された役務の価格

+ 5万円又は契約残金の20%のいずれか低い額との合計

・結婚相手紹介サービス 提供された役務の価格

+ 2万円又は契約残金の20%のいずれか低い額との合計

 

未使用の関連商品に例としては、エステであれば化粧品や美顔(脱毛)器、美容医療であれば健康食品、教室関連であれば教材やCD、結婚相手紹介サービスであれば宝石や指輪などです。

 

最後に

今回お伝えした特定継続的役務提供の内容は、あくまで概要でありますので、実際のサービス内容によっては、特定継続的役務提供に該当せず、クーリング・オフが利用できないというような場合もあります。

特定継続的役務提供に係るトラブルでお困りの方は、当事務所までご相談ください。事情を伺った上で、適切なアドバイスを行います。

当事務所では、過去の案件として、美容エステクリニックとトラブルになった依頼者から依頼を受け、クリニックに対して中途解約をし、交渉により、支払った代金の一部が返金されたケースを扱ったなどの実績があります。

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