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【相続は争続?】よくある相続トラブルと予防策

遺産相続ではさまざまなトラブルが発生し、一度トラブルになると、当事者同士での話し合いは困難となるため、生前に対策をしたいと考える方も少なくありません。 

このような時は、よくある相続トラブルと予防策を知っておけば、今起きているトラブルの対応や、今後の起こり得るトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。 

 

 この記事では、相続でトラブルになりやすいケースを、数多くの相続案件に携わってきた経験から紹介します。

 

  この記事のポイント
☞ 相続でトラブルになりやすい傾向とケースがわかる
☞ トラブルにならないための予防法がわかる

 

 

 

よくある相続トラブル9選

1 兄弟姉妹で割合について揉める 

「長男だから。」、「遺言書に書いてあるから。」と言って、兄弟姉妹間で割合について揉めることがあります。 

まず「長男だから。」など感情的な理由のみで多く割合をもらえることはありません。遺言書などで相続分が指定されていない限り、法定の相続分となります。(しかし、現実には地方や家庭によっては、被相続人が長男にすべて相続させるのが当たり前だとの考えを持っており、それに沿った遺言書がある場合も未だに非常に多く見られます。)

また遺言書で特定の相続人に相続させる旨の記載があった場合、それは遺留分を侵害している可能性がありますので、遺留分侵害額請求を行いましょう。 

 

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2 相続人が多い 

相続人は自分が知っている人だけとは限りません。相続人の調査を進めてみると、被相続人が過去に数回婚姻しており、その間に出生した子が複数人おり、一度も名前すら聞いたことがない人が本当は相続人だったというケースもしばしば見られます。

そのため、本来であれば、自分で相続人の調査として、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本を揃える必要がありますが、遠くの市町村に除籍謄本があったりすると、揃えるまでにかなりの時間を要する可能性が十分あります。 

 

 当事務所では、相続人の調査からご依頼頂くこともできますので、時間的精神的負担を軽減させることができます。

 

 

3 遺言書の内容に不満 

被相続人が、遺言書(公正証書遺言や自筆証書遺言など)を作成していて、内容や形式に争いがある場合、トラブルになるケースがあります。 

実際に、遺言無効確認訴訟の裁判にまで発展することもあります。 

具体的には、遺言書の作成日時の当時、被相続人が認知症であって到底自分の意志を表示するような能力を有していなかった場合や、明らかに筆跡が異なるなどの場合に争われる事が多いです。

 

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4 特別受益・寄与分が認められない 

例えば、特定の相続人が、被相続人の生前、被相続人から生計の資本として贈与を受けていた場合(特別受益)や、被相続人の世話を行っており、被相続人の財産の維持に貢献していた(寄与分)の場合、それが認められるか認められないかで、トラブルになるケースはとても多いです。特別受益や寄与分が認められる判断基準については、ケースバイケースで判断されますので、より争いになりやすいのです。 

 

 寄与分については短期間面倒を見ていただけでは認めらず、相当長期間無償または無償に近い形で特別の寄与を行ったと認められる必要があり、認められるのは実務上ハードルが結構あります。

 

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5 相続人の一人が遺産を独占している 

例えば、遺言書に「不動産はAに相続させる。」と記載があれば、遺産分割を経ることなく当該相続人Aは直接遺産を確定的に取得することができますが、このような場合でも遺留分が侵害されていれば、自己の遺留分割合に応じて金銭請求が可能です。 

このようなトラブルがあった際には、まずは遺留分が侵害されているとして、遺留分侵害額請求権を行使しましょう。 

 

6 相続人が財産を使い込んでいる疑いがある 

いわゆる使途不明金の問題です。使い込んでいる疑いがある相続人から、取り戻すことができる場合もあります。 

この場合、過去の銀行の取引履歴をすべて開示を求めて調査したり、A銀行からB銀行にお金が移動している場合には相手方に対してB銀行の取引履歴の開示をも求めたりして、いついくら何に使われたのかを解明していくことになります。

 

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7 不動産の分割方法で揉める 

不動産を相続により共有状態となった後、その分割方法について、共有者間で揉めることがあります。

分割方法としては、物理的に不動産を分割する現物分割、共有不動産を特定の者が取得してその者が他の共有者に相当の代償金を支払う代償分割、共有者全員で不動産を売却し売却した金額を持分に応じて分配する換価分割によって、共有関係の解消を行うことができます。 

 

8 相続財産に借金が含まれている 

相続財産はプラスのものばかりではありません。被相続人が抱えていた借金などの負債も含まれます。相続放棄をするか否かの熟慮期間である3ヶ月間を過ぎると、負債も相続することになります(共同相続人がいる場合は相続分に応じます。)。 

 

 相続人の調査とともに、限られた資料の中から、相続財産を調査することも重要です。 

 

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9 遺産分割協議に参加しない相続人がいる 

相続人が判明し、相続人で遺産分割協議を行おうにも、何らかの理由で参加しようとしない相続人がいる場合、遺産分割が進まないときがあります。遺産分割は、相続人全員で行わなければ無効となりますので、注意が必要です。 

このような事態となると、いつまでも遺産分割が進まず、精神的負担は増すばかりですので、遺産分割調停を起こす必要があります。

もっとも、弁護士が受任後、内容証明を送付したら話合いのテーブルについてくれ、弁護士が窓口となって話し合いを進めた結果、無事に遺産分割協議が成立することもありますが、それでも折り合いがつかなかったり、連絡を無視された場合などは調停に移行します。

 

未然に防ぐ方法 

相続トラブルには金銭や感情的な対立がとても多く絡んでいるため、話し合いを行って、解決はしたものの、喧嘩別れのように終わってしまったケースがあります。 

後味が悪い終わり方をしないためにも、相続トラブルを未然に防ぐことが重要です。 

 

相続人が誰かなのかを、相続人間で把握しておく 

家族全員が集まる機会があれば、相続人として誰がいるのか、被相続人の出生からのすべての戸籍を取得した上で確認し合うことは円滑な遺産分割を行う第一歩といえます。時に、被相続人が認知した子がいたというケースは少なくありません。 

 

財産目録を作成しておく 

財産調査にかかる時間を考慮すると、財産目録を作成しておくことも重要です。 

基本的には、預貯金であれば、銀行名、支店名、預金種別、口座番号を記載し、不動産であれば、登記事項証明書を添付しておくだけでも良いかもしれません。 

 

成年後見制度を利用する 

認知症になると、相続対策は困難となるため、成年後見制度や民事信託を利用するとよいでしょう。 

成年後見人は、一般的には、弁護士や司法書士などの専門家が就任しサポートを行います。なので、認知症となったとしても、成年後見人サポートのもと、遺言書作成などの法律行為を行うことができます。 

 

まとめ 

相続は、「争続」ともいわれるほど、トラブルが頻発する問題です。 

今回ご紹介したトラブルと予防法については、あくまで一般的なものですので、ケースバイケースで対応していかなければなりません。 

当事務所は、相続人が10名以上に亘った遺産分割を成立させた事例や、遺留分・特別受益・寄与分の対応について、数多くの実績がございますので、相続トラブルを回避したいがいつから何をしたらよいかわからない方、既にトラブルになってしまっている方は、お気軽に当事務所までご相談ください。 

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