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著作権侵害で訴えたい(被害者の視点から)

Q 私は写真撮影が趣味で、普段写真を撮っては、ネット上に公開しているのですが、先日、ネットサーフィンをしていたら、自分の撮った写真が無断で利用されているサイトがありました。私は他人に使用許可したことはありません。これは著作権を侵害されているのでしょうか。

もし侵害されているのだとしたら、相手に掲載をやめるよう請求するほかに、どのような請求を行うことができるのでしょうか。

A 無断で利用しているということは著作権侵害の対象となり得ます。

差止請求の他に、損害賠償請求慰謝料請求名誉回復等措置の請求を行うこともできますし、民事だけでなく、刑事責任を問える可能性もあります。

 

この記事では、著作物の具体例と例外、被害者の面から侵害されたときの対応について、簡単に紹介したいと思います。 

 

  この記事のポイント
☞ 著作物とは何か、著作物であっても自由に使える場合があることがわかる
 著作権侵害されたときの対応についてわかる

 

 

 

 

はじめに

近年は、新型コロナウイルスの影響もあり、よりSNSなどインターネットの利用が活発になりました。それにより、誰でも気軽に動画や画像をネット上にアップロードできるようにもなりました。 

しかし便利になった反面、著作権侵害も発生しやすくなったのも事実です。 

 

著作権法と著作権 

著作権とは、自分が創作した著作物を他人に利用させる権利をいい、他人が許可なくその著作物を利用した場合には、著作権侵害として、民事または刑事の責任を問えることになります。 

もし、著作権を保護する著作権法がなければ、どうなるでしょうか。 

例えば、ある小説家が書いた小説本が名誉ある賞を受賞した際に、多くの出版社からその小説本が出版された場合、出版されることについて小説家には何も権利はないので、文句は言えません。当然本の売上げによる印税も小説家には入りません。そうなると、創作意欲がなくなり、次第に小説というジャンルが衰退していってしまいます。

このような事態が起こらないよう、著作権法は、あらゆる人が意欲的に創作活動ができるように、またそれによって文化が発展していくことを目的としている法律なのです。 

 

著作物とは 

著作権が保護する著作物について、ひとえに著作物といっても、著作物は世の中にたくさん溢れていますが、法律では、著作物について定義されています。 

著作権法では、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法2条1項1号)。 

このことから、著作物といえるためには、①思想又は感情を、②創作的に、③表現したものであって、④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの、である必要があります。 

 

①思想又は感情 

著作物は、思想又は感情に基づくものである必要がありますので、単なる事実やデータ(人の思想又は感情を伴わないもの)は著作物とはいえません 

例えば、「2023年に東京五輪があった」という事実や「ここ数か月の東京の最高気温」というデータは人の思想又は感情を伴わないものなので、著作物とはいえません。 

もっとも、こうした客観的事実やデータに人の思想又は感情が結び付けば、著作物に該当します。なので、例えば、新聞記事は、客観的事実を基にしながらも、今後の予測など記者の思想や感情が入り込んでいるといえますので、一般的に、新聞記事は著作物にあたるとされています。 

 

②創作性 

創作性とは、個性が表れていることを意味します。個性については、一般的に抽象的表現ですので、他人の物と異なるものを作成した程度で足りると考えられています。 

なので、例えば、一般人の絵と有名画家の絵は、両者個性が表れているとして著作物という意味では同じ扱いになります。 

とはいえ、実務上、創作性、つまり個性的であるかどうかが争いになることが多いです。 

この点については、一般的な基準(独創的、個性的であればあるほど創作性や個性が強いと言われます。)はありますが、これのみで創作性があると明確に判断できることは多くありません。 

また創作性が強かったとしても、例えば、模倣品やキャラクターそのものといったものは著作物に該当しないと判断されることがあります。 

 

③表現したもの 

何らかの形で表現されたものであることが必要です。著作権は、アイデア自体を保護するものではないためです。 

そのため、単に頭の中で考えているだけの段階では保護されません。外部に表現する必要があります 

 

文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの 

これら4つの分野のみではなく、文化全般を指すものと理解されています。 

先程紹介しましたとおり、著作権法は文化の発展を目的としていますので、著作物は文化的なものである必要があります。著作物が文化ではなく、産業の発展に寄与するものであると判断された場合は、著作権法ではなく、産業財産権法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)により保護される可能性があります。 

 

著作物の具体例 

こうした著作物について、法律で、具体例が列挙されています。例示なので、これに該当しなくても、著作物と認められるものもあります。 

小説や音楽、映画、建造物、写真、絵画などは著作物としてイメージしやすいでしょう。 

 

著作物の種類   
言語  小説、レポート、脚本、講演など 
音楽  楽曲、歌詞など 
舞踊、無言劇  日本舞踊、バレエ、ダンスなど 
美術  絵画、彫刻、漫画など 
建築  芸術的な建造物など 
地図、図形  地図、図形、図表、模型など 
映画  劇場用映画、ビデオ、ゲームソフトなど 
写真  写真など 
プログラム  コンピュータプログラム、アプリケーションプログラムなど 
二次的著作物  原作の小説を映画化したもの、翻訳など 
編集  新聞、雑誌、辞書など 
データベース  コンピュータ検索が可能なものなど 

 

例外:著作物を自由に使える場合 

著作権法では、以下のようなケースは例外として、著作物を自由に使えることを認めています。 

・私的使用のためにコピーすること 

・自分の著作物に他人の著作物を引用すること ※出所の明示は必要 

・学校などの教育機関や図書館などの公共施設でコピーすること 

・営利を目的とせず、かつ無料で上演すること 

・試験問題としてコピーすること など 

 

侵害されたときの法的措置 

では、冒頭のQuestionのように、こうした著作物を無断で使用された、つまり著作権侵害された場合、民事・刑事どちらも責任を問うことができますが、そのためにもまずは証拠を保存しておくことが重要です。 

また法的措置に移行する前に、侵害者に対して交渉にて削除や差し止めを請求することも選択肢の一つです。 

 

民事 

証拠を保存し、交渉で侵害者に削除や差し止め請求したが、奏功しなかった場合、民事で請求することができます。また、差止請求以外にも、損害賠償請求や不当利得返還請求、名誉回復等の措置請求を行うことも可能です。 

・ 差止請求(法112条) 

・ 損害賠償請求(民法709条) 

・ 慰謝料請求(民法710条) 

・ 不当利得返還請求(民法703条) 

・ 名誉回復等措置の請求(法115条) 

これら手続は、裁判所と関わる必要があり、訴えの具体的方法など専門的かつ高度な知識や技術を要しますので、弁護士に相談することをお勧めします。 

 

刑事 

著作権侵害による最も重い刑罰は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はこの両方です。 

ちなみに、著作権侵害は親告罪のため、証拠が揃い次第、自分で刑事告訴をしなければ警察は動きません。 

刑事告訴の手続についても、専門的な知識が必要となりますので、証拠が揃い次第、一度弁護士に相談してみるのがよいでしょう。 

 

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♦ 刑事告訴の概要と、告訴を警察に断られた場合の対応

 

まとめ 

以上著作権法の目的、著作物の例と例外、法的措置について簡単にご紹介しました。 

具体的な著作物については例示がありますが、実際、当該物が著作物にあたるかどうかは判断が難しいことがあります。自分の行っている行為が著作権法に規定される著作者の権利を侵害していないか、インターネットでは簡単にアップロードできてしまうので、注意が必要です。 

もし、インターネット上でご自身の著作物について権利侵害を受けているなどお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。 

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