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パパ活問題について

「パパ活でみだらな行為により逮捕」、「パパ活で詐欺により逮捕」など、近年、パパ活という言葉がニュースなどでよく聞くことがあると思います。

パパ活について、明確な定義はありませんが、一般的には、女性が男性から金銭を受け取り、その対価として食事やデートをするとされています。

このようにパパ活は、青少年を相手方とする売買春をダイレクトに意味するものではありませんので、食事やデートをした程度であれば何ら罪に問われることはありません(ただし、青少年を保護者の委託等なく深夜に連れ回したりすると、別途青少年健全育成条例違反となります)。しかし、実際には、肉体関係を伴うケースがあるなどトラブルの温床となっています。

ちなみに、行為内容は同じですが、男女が逆転した場合にはママ活と言われています。

 

この記事では、パパ活で犯罪になるケースについて、男性側と女性側の視点から紹介したいと思います。

 

犯罪になる主なケース(男性側の視点)

1 性行為の対価として金銭収受をした

売春防止法違反

パパ活は食事やデートのみの行為ですが、パパ活と称して、性行為の対価として金品のやり取りをした場合は、売春あるいは買春となる可能性があります。

ちなみに、売春防止法は、勧誘やあっせん、困惑等による売春や、場所の提供などについて処罰対象としており、売春または買春そのものは処罰の対象とされていません

 

2 相手の女性が18歳未満であった

未成年者誘拐罪(刑法224条)

未成年者を自宅やホテルに連れ込んだりする行為は、未成年者が同意していたとしても、未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。その場合、3月以上7年以下の懲役となります。

 

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

18歳未満である児童に対し、性行為を目的として金品を渡すことや、わいせつな写真・動画を撮影することは児童買春・児童ポルノ禁止法違反になる可能性があります。その場合の処罰は、複数ありますが、主なものとして、児童買春(法4条)であれば5年以下の懲役又は300万円以下の罰金、児童買春の勧誘やあっせん(法5条及び6条)であれば5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこの両方(業として行った者は7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金)となります。

 

児童福祉法違反

児童に淫行(簡単に言うと性行為等)させた場合、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの両方となります。

 

各都道府県の青少年健全育成条例

各都道府県によって名称は異なりますが、東京都の場合、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」です。東京都では、「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない」とし(18条の6)、これに違反した場合、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます(24条の3)。

 

3 成人している、いないに関係なく、同意なく性行為やわいせつな行為をした

不同意わいせつ罪(刑法176条)

例えば、相手の女性が同意していないのに、抱きついたり、キスをする行為など、相手の女性が同意しない意思を形成、表明、全うすることが難しい状態でわいせつな行為をした時に成立する犯罪です。この場合、

この場合、6月以上10年以下の拘禁刑(2025年に施行見込みの刑法改正によって新設される刑の種類で、懲役と禁錮を一本化したもので、それまでは懲役とみなされます。)となります。

 

不同意性交等罪(刑法177条)

例えば、相手の女性に対して暴行や脅迫をして、性交に及ぶ行為など、相手の女性が同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態で性交等行為をした時に成立する犯罪です。

この場合、5年以上の有期拘禁刑(2025年に施行見込みの刑法改正によって新設される刑の種類で、懲役と禁錮を一本化したもので、それまでは懲役とみなされます。)となります。

 

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4 パパ活中に盗撮した

もし、暴行又は脅迫、アルコールなどにより相手の女性を抵抗できない状態にさせ、それを利用して、性的な部位や性交中の姿態を撮影した場合、性的姿態撮影等処罰法により、性的姿態等撮影罪が成立する可能性があります。この場合、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となります。

 

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捜査されるきっかけと逮捕の可能性

捜査されるきっかけは、相手の女性が捜査機関に被害届刑事告訴をした場合です。その他にも、相手の女性が未成年者であった場合、携帯のやり取りを見た保護者や友人などの通報から捜査が始まることもありますし、警察官による補導によって発覚する可能性もあります。

そして、捜査が進み、犯罪行為が発覚すれば、逮捕される可能性は高まります

 

逮捕されたときの弁護士の役割

このように、パパ活を利用して、相手の女性に性行為などをした場合、行為態様によってさまざまな法律や条例違反が問われる可能性が高いです。

未成年者誘拐罪で逮捕されなくても、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で逮捕されることもあります。

パパ活が原因で逮捕された場合は、最大で23日間警察の留置場で過ごし、その間取調べを受けます。逮捕直後、早くて4日目までは弁護士以外の人と面会することはできません

 

そのためにも早い段階で、弁護士に相談することで、取調べの対応方法やアドバイスの他、示談交渉をすることができますので、逮捕されたら速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

 

ちなみに、刑事責任を中心に紹介しましたが、自分が既婚者でパパ活で性行為をしたり、あるいは相手の女性が既婚者で性行為をした場合は、民事で、配偶者から慰謝料請求をされる可能性があります。

 

犯罪になるケース(女性側の視点)

他方、パパ活は、女性が男性から金銭を受け取り、その対価として食事やデートをするものですので、こうした行為について処罰する法律や条例はありません。

 

しかし、男性に嘘をついてお金が必要であると信じ込ませ、金銭を騙し取ったときは、詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性があります。

 

まとめ

パパ活自体を処罰する法律や条例はありませんが、パパ活を利用して、未成年者と性交したり、盗撮した場合は、罰則があります。女性側にも、詐欺をした場合に罪に問われる可能性があります。

逮捕された場合には、初動が大事ですので、速やかに弁護士に相談しましょう。

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