COLUMN

コラム

【被害者向け】DV被害に遭った時にどう対応すべきか?

DV防止法とは

正式には、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律といいます。配偶者暴力防止法と呼ばれることもあります。

DV防止法は、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を目的としたものです。

 

配偶者からの暴力の防止

対象となる配偶者

DV防止法にいう配偶者は、婚姻関係にある相手とは限りません。内縁など事実婚にある相手や離婚した相手、同棲している恋人、同棲解消後の元恋人も含まれます。

 

ちなみに、恋人関係であっても、同居したことがない恋人からのDVはストーカー規制法で対応を検討します。

 

 【関連記事】 こちらもあわせて読みたい
♦ ストーカー被害に遭ってしまった場合の対処法~この行為はストーカー?

 

具体的な暴力行為

対象となる暴力行為は、身体的暴力精神的暴力性的暴力経済的暴力が主に挙げられます。

身体的暴力

簡単に言いますと、殴る、蹴る、物を投げつける、髪を引っ張る、首を絞める、刃物を突き付ける行為などです。

 

精神的暴力

精神的暴力とは、例えば、人前で怒鳴る行為です。人前でなくても、言動などによって相手を精神的に攻撃するいわゆるモラハラ行為は精神的暴力にあたります。この他、行動を制限したり、無視したり、馬鹿にする言動も含まれます。

 

性的暴力

夫婦などであっても、性行為の強要は性的暴力にあたります。暴力による性行為は、不同意性交等罪に問える可能性があります(不同意性交等罪は、婚姻関係の有無に関係なく適用されます。)。この他にも、中絶の強要なども含まれます。

 

経済的暴力

経済的暴力とは、簡単に言えば、生活費を渡さないことです。生活費以外にも、子どもに関わる教育費や治療費など費用を渡さないことも対象となります。

 

被害者の保護

以上のようなDV被害を受けた場合、被害者は、裁判所に対して保護命令を申し立てることができます。

 

申立てから保護命令発令

保護命令の申立てには、相手から暴力を受けた状況や自分の生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい事情、配偶者暴力相談センター・警察に相談した事実などを記載しなければなりません。申立てにあたっての必要な書類は、裁判所に問い合わせてみるとよいでしょう。

保護命令の申立後、裁判所と申立人本人又は代理人が面接し、審尋(当事者が裁判所に対して書面又は口頭で意見や主張を述べる期日)を経て、審理の結果、保護命令の要件を満たしていると判断されれば、速やかに保護命令を出してもらえます。

ただし、審尋期日は、申立人(被害者)が相手方からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが明白な場合や、緊急に保護命令を発しなければ申立人(被害者)の保護ができないような審尋期日を経ることで保護命令の目的を達することができない事情があるときは、審尋期日等を経ずに保護命令が発令されることがあります。

 

保護命令の種類

被害者からの申立てを受けた裁判所は、被害者が配偶者からの暴力によって生命や身体に重大な危害が加わるおそれがあると判断したときは、以下の保護命令をすることができます。以下のうち、子らへの接近禁止命令および電話等禁止命令は、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するための付随的な制度のため、被害者への接近禁止命令と同時か、同命令が既に出ている場合にのみ発令することができます。

 

加害者がこの保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

 

 

被害者への接近禁止

裁判所は、加害者に対して、保護命令が発令されてから6か月間、被害者の住居や勤務先、通勤路、身辺へのつきまといなどの禁止命令を下します。

 

退去命令

加害者に対して、2か月間、被害者が居住する住居から退去すること及び徘徊してはならないことを命じます。

 

被害者の子どもまたは親族等への接近禁止

DV被害は、被害者だけでなく、被害者の子どもや親族にも及ぶ可能性があります。

このような場合は、15歳以上の子どもや親族から同意を得たうえで、裁判所は、加害者に対して、命令が発令されてから6か月間、子どもや親族に対する接見禁止命令を発令することができます。

 

電話等禁止

以上のような接見禁止は、加害者からの電話やメールは禁止の対象とされていません。

被害者が加害者からの電話やメールを制限したいときは、電話等禁止命令も出してもらう必要があります。

 

まとめ

DV防止法の概要から保護命令手続について簡単に紹介しました。

DV防止法は、配偶者から暴力や脅迫を受けた被害者を保護する目的の法律です。

もし、ご自身がDV被害に遭われている場合や保護命令を申し立てることができるかわからない場合は、躊躇わずに警察署や配偶者暴力相談センターに相談してみるとよいでしょう。

コラム一覧