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著作権侵害にあたるケースと法的責任

著作権とは、知的財産権のうちの一つで、自分が創作した著作物を他人に利用させる権利をいい、他人が許可なくその著作物を利用した場合は、著作権侵害として、民事上または刑事上の責任を問うことができます。

 

この記事では、著作権侵害に当てはまり得るケースと著作権を侵害した場合の責任について、具体例を交えながら、簡単にご紹介します。

なお、著作物の具体例や例外的に自由に使える場合などは以下の関連記事をご覧ください。

 

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著作権の種類

具体的にどのようなケースが著作権侵害になり得るのかについては、著作権にはどのような権利があるのかを知っておくことが重要です。

著作権法には、著作権という権利はありません。公表権や複製権というように利用形態に応じて権利が規定されています。

 

著作者人格権

著作者の人格的、精神的利益を保護するための権利で、公表権、氏名表示権、同一性保持権があります。著作権というと、作品そのものに対する権利をイメージするかもしれませんが、著作者自身に対する権利も保護しています。そのため、著作人格権は一身専属のため譲渡することはできません(著作権法59条)。

 

公表権(著作権法18条)

未公表の著作物を公表するか否か、また公表する場合はその時期や方法などを著作者が決めることができる権利です。

例えば、著作者が「公表したくない!」と思う場合に、他人によって勝手に公表されないことを要求できます。

従いまして、小説家が作った未公表の小説作品を勝手に発刊する行為は公表権侵害となります。

 

氏名表示権(著作権法19条)

著作者の氏名を表示するか否か、表示する場合はその名義等を著作者が決定できる権利です。

例えば、著作者が、今後この作品を世に公表するときは、必ず自分の名前を入れてほしいときに、要求することができます。

従いまして、写真家が撮影した写真を氏名を表示させずにSNSに投稿する行為は氏名表示権の侵害行為となります。

 

同一性保持権(著作権法20条)

著作物およびそのタイトルの同一性を保持し、著作者の意に反した改変を著作者は受けない権利です。

例えば、著作者が、作品を修正しないよう要求する権利です。

従いまして、ゲームのストーリープログラムを勝手に書き換える行為は同一性表示権の侵害に当たります。

 

著作者人格権の保護期間

著作者人格権を著作者個人が有する場合は、著作者が死亡するまで保護されます。ただし、死亡した後も、著作者人格権を侵害するような行為は禁止されています(著作権法60条)。

また法人が有する場合は、法人自体が著作者人格権を有することになりますので、法人の解散などがない限り、保護され続けます。

 

著作者人格権を侵害した場合

これら著作者人格権を侵害した場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこの両方に処せられます。

 

著作(財産)権

複製権(著作権法21条)

著作者に与えられた最も基本的な権利です。すべての著作物が対象となるため、いかなる方法を問わず、著作物をコピーすることに関する権利です。

例えば、自分が作曲した楽曲を他人が無断でCDにして販売していた場合は、複製権侵害となります。

 

上演権および演奏権(著作権法22条)

著作物を無断で上演されたり、演奏されない権利をいいます。

例えば、自分が書いた脚本が、勝手に上演されていた場合などは上映権の侵害行為となります。

 

上映権(著作権法22条の2)

自分の著作物を他人が許可なく映写して公衆に見せることを禁止する権利をいいます。

例えば、権利者に無許可でアニメを上映していた場合は、上映権侵害となります。

 

公衆送信権(著作権法23条)

インターネットなどにより、著作物を公衆に送信することに関する権利です。

例えば、著作物のコピーを公衆に向けてネットで送信する行為は、公衆送信権の侵害ということになります。

 

口述権(著作権法24条)

言語の著作物を公衆に口述する権利をいいます。

例えば、講演会などで、他人が書いた本や新聞を許可なく読み上げると口述権の侵害となります。また録音機能を使って再生する行為も同様です。

 

展示権(著作権法25条)

美術の著作物または未発行の写真の原作品を公に展示することに関しての権利です。原作品(オリジナル)を許可なく展示すると展示権の侵害となり得ます。

 

頒布権(著作権法26条)

映画等の著作物をその複製物により頒布する権利です。映画の著作物のみに認められる権利です。なので、例えば、映画の複製物を許可なく販売や貸し出すことは頒布権侵害となります。

 

譲渡権(著作権法26条の2)

著作物の譲渡により公衆に提供する権利をいいます。公衆なので、友人間の貸し借りは譲渡権侵害とはなりません。

ちなみに、譲渡権はCDなどが適法に譲渡された場合、その後の販売などについては譲渡権の効力が及びません(消尽)。

例えば、メルカリで売ったとしても、購入した時点で著作物の譲渡権は消尽していますので、譲渡権侵害とはなりません。

 

貸与権(著作権法26条の3)

著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利をいいます。映画の著作物は、頒布権で保護されますので除かれます。

例えば、レンタルビデオ店が有料で著作者の許可なくCDや本を貸し出すことは貸与権の侵害となります。しかし、レンタルビデオ店が事業として本やCDを有料で貸し出す事業を行うことができているのは、著作権管理団体から許可をもらい、著作権使用料を支払っているためです。ちなみに、貸与権には譲渡権のように消尽はありません。

また図書館については、非営利で行っているため貸与権が及びません。なので、許可なく図書を貸し出すことができているのです。

 

翻訳権・翻案権(著作権法27条)

文字通り、例えば英語の歌詞を日本語に翻訳する権利です。

たまに、個人のブログに英語と翻訳した日本語の歌詞を載せているのをみかけますが、場合によっては翻訳権、複製権、公衆送信権侵害行為と判断されることがあります。

 

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著作権法28条)

自分の著作物を基に作られた二次的著作物を第三者が利用する場合に関する権利です。

例えば、原作者が作った英語版の本などの著作物を他人が原作者の許可を得て日本語に翻訳し、翻訳した日本語版を第三者がコピーする場合、第三者は翻訳者のみならず、原作者からも許可を得る必要があります。

 

著作(財産)権を侵害した場合

これら著作(財産)権を侵害した場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられます。

 

著作権侵害にならない行為

状況などによっては、許可なく複製しても、公表しても、著作権侵害とならない場合があります。

個人や家族など私的使用のための複製行為
技術開発や実用化試験のための利用行為
授業で使用するなど教育上認められる範囲での利用行為
入学試験の問題として複製し、公衆送信する行為
非営利での上演行為 など

 

ただし、侵害行為ではないとしても、事案によっては侵害行為と判断される可能性がありますので、注意が必要です。具体的に侵害行為となるかどうかは、弁護士に相談することをお勧めします。

 

刑事だけでなく民事責任も

著作者人格権、著作(財産)権を侵害した場合、刑事罰を受ける可能性がありますが、刑事だけでなく、民事で損害賠償請求慰謝料請求不当利得返還請求差止請求名誉回復等の措置請求を受ける可能性があります。

 

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まとめ

著作権侵害といっても、具体的にどの権利を侵害しているのか判断が難しいことがあります。また、著作権侵害は、現在に限らず過去の行為についても損害賠償請求の対象となり得ますので、著作権に関する交渉や訴訟対応が必要となった場合は弁護士に依頼して対応してもらった方が、精神的にも軽減します。

著作権侵害で請求が届いたり、訴状が届いた場合は、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

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