騒音トラブル解決に向けた対応
騒音トラブルは、空港や住宅街、マンションなど日々全国で発生しています。
騒音によって健康被害を受けてしまった場合は、相手に騒音を出さないよう申し出たり、場合によっては裁判に発展する可能性もあります。
しかし、当事者間で解決を図ろうとして、誤った対応をしてしまうと、隣人との関係が悪化し、さらに大きな事件に発展してしまうことも少なくありません。
この記事では、騒音トラブルに関しての対応についてご紹介します。 |
騒音規制法は適用されない
近隣トラブルのうち、騒音に関しての法律はありません。
騒音規制法という法律がありますが、これは工場や建設現場、自動車などの騒音を規制する法律のため、日常生活の騒音トラブルにおいて、騒音規制法で何か請求できるわけではありません。
騒音トラブル解決に向けた対応
騒音の記録をする
日記や手帳に記すのも良いですが、客観的な証拠としては、騒音計で測った記録を残しておくのが望ましいです。こうした客観的記録を残しておけば、今後相談する際に、警察や弁護士などに説明しやすくなります。自治体によっては、測定器の貸し出しを行っているところもあります。
騒音を出している人と直接話をする
当事者間で話をして解決できるのであれば、最も手っ取り早い方法です。
しかし、当事者間ゆえ、少しでも対応を間違えると関係が悪化しかねませんので、注意してください。
騒音を出している人にとっては、自覚をしていないことがほとんどです。突然言われたら文句を言ってきたなと思われる可能性は極めて高いです。
管理会社や賃貸人など第三者を介する
賃貸マンションの場合は、まずは管理会社に事情を説明し、注意してもらう方が直接話をしなくて済みますし、円満に解決できるかもしれません。
ただし、自分が言い出したことを隠したい気持ちで、「自分からだとわからないようにしてください。」と求めた場合、管理会社としては、全室に注意喚起のチラシをポストに入れるか、掲示板に張り紙をするかの対応しかできないでしょう。
そうなると、無自覚の騒音を出している人は、気に留めることはありませんので、結局解決しません。
場合によっては、自分が言い出したことを伝えてしまっても問題ないと伝えた上で、管理会社に相談してみてもよいかもしれません。 |
警察に相談
管理会社が注意しても改善されないなどの場合は、警察に相談してみてもよいかもしれません。警察は基本的に民事不介入の立場をとりますが、騒音トラブルがきっかけで別の事件に発展しそうな場合には警察による注意が行われることもあります。
悪意をもって大音量で音を流すなどの悪質な行為については、健康被害などが具体的生じている場合には、傷害罪での刑事告訴も視野に入れることができます。
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弁護士に相談
自分で対応しようにも感情的になりそう、管理会社に相談したが改善されない、警察で相談しても民事には介入できないと言われたら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談してアドバイスを受けることで、何か自分でできる対応が見つかるかもしれませんし、弁護士が代理して騒音を出している人と話をすることもあります。
弁護士にもよりますが、基本的に話し合いで解決することをまずは目指します。
もし、騒音が原因で頭痛や不眠などの健康被害が生じた場合は、損害賠償請求を行うことができます。ただし、損害賠償が認められるためには、騒音が受忍限度を超えているかどうかが争点となります。
受忍限度とは、平たく言えば、我慢できるものかどうかということです。騒音の内容や程度、頻度、騒音を防止したり軽減したりする対策をしたかどうかなどを総合的に考慮します。 |
また、当事者がともに賃貸しているのであれば、裁判に勝っても相手を引っ越させることはできませんし、騒音トラブルがきっかけで自分が引っ越したとしても引っ越し費用や慰謝料が認められる立証は簡単ではありません。
まとめ
騒音トラブルは、生活音などの場合はやむを得ないところもあります。
お互いに配慮し、円満な解決になることが望ましいです。どの対応をとるかは、ケースバイケースになりますが、まずは管理会社がいるのであればまず管理会社に、管理会社がいないのであればまずは大家に、それでもだめであれば警察、弁護士にアドバイスを求めることをお勧めします。
騒音で悩んでいる方は、当事者間で話し合ってトラブルが深刻になりそうであれば、弁護士に相談しましょう。弁護士は、状況を踏まえて、騒音が受忍限度を超えているかなどの観点から、騒音被害自体やこれに関連する損害を立証するためのアドバイスを行います。