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暗号資産(仮想通貨)をめぐる詐欺トラブル

一般の方でも、取引がしやすいことなどから、注目されている暗号資産(仮想通貨)ですが、暗号資産をめぐっては、さまざまな手口により詐欺被害に遭うというトラブルが急増しています。

 

この記事では、暗号資産(仮想通貨)をめぐる詐欺トラブルから被害金の回収方法について、ご紹介します。

 

暗号資産(仮想通貨)詐欺とは

暗号資産とは、一般的に、インターネット上において電子取引される通貨をいいます。物品の購入やサービス代金の支払いなどにも利用され、取引所で円や米ドルなどの法定通貨に交換することもできます。

暗号資産詐欺とは、こうした暗号資産(仮想通貨)への投資を勧められ、投資をした結果、多額の投資資金をだまし取る詐欺をいいます。

 

投資目的での勧誘による詐欺

暗号資産のブームがあるためか、各地でセミナーなどが行われていますが、他人から勧誘を受ける場としては最もポピュラーでしょう。このほかにも友人や知人など個人から勧誘されることも多いかもしれません。

最近では、FacebookやInstagramなどのSNSで知り合った人から投資話を持ちかけられての詐欺が非常に多いですので、SNSで投資話を持ち掛けられたらまず詐欺だと思って警戒するくらいの姿勢でいていただきたいです。

勧誘を受けた際に、暗号資産は必ず値上がりするとか、価格保証があるから大丈夫だと言われても安易にのらないほうが賢明です。

まず、投資詐欺において絶対値上がりするとか、儲かるとかはありません。また、仮想通貨を取り扱うためには金融商品取引法に定められた届出等の登録又は許可を受けなければなりませんので、認可された業者であるかを必ず確認しましょう。

主な詐欺の勧誘形態としては以下のものが挙げられます。

・●●コインと交換できるから××コインを買って下さい。

・仮想通貨の大手取引所が上場するので絶対に値上がりします。

・毎月●%の配当を受け取れます

・副業で稼ぎませんか

・銀行で預けるより金利が良い

等、手を変え品を変えですが、未公開株(IPO)や社債の購入、仮想通貨の購入、オーナーなどの権利の販売などなど、言葉巧みに騙してきます。

その他にも、バイナリーオプション、社債、FX、資源の権利やCO2排出権などは詐欺の理由として用いられることが多いです。

ロマンス詐欺

出会い系やマッチングアプリで知り合った人から仲良くなるうちに、仮想通貨での支払いを求められて、仮想通貨で支払った場合、その後に音信不通となることがほとんどです。

これは被害額が多額になることが多く、回収も非常に難しい上に警察もほとんど動いてくれませんので、現状、詐欺被害に遭ってしまってもほとんど回収手段がありません。

 

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暗号資産(仮想通貨)を取り巻く法律

現在、暗号資産に関する法律は以下の3つにより投資家保護を図っています。

資金決済法

仮想通貨交換業者に対する登録制の導入や、新規口座開設にあたっての本人確認等が義務付けられている。その他、取扱仮想通貨の事前届出や加入に関する規制について規定されている。

 

金融商品取引法

仮想通貨を原資産とするデリバティブ取引が金融商品として追加され、デリバティブ取引を取り扱うには第一種金融商品取引業者の登録が必要とされる。

 

金融商品販売法

新たに、仮想通貨取引、デリバティブ取引(株式や債券などの商品を投資する方法の一つで、元手より大きな金額でできる取引)が対象となり、販売業者から顧客に対する説明義務が課されています。

 

被害金回収のためには情報が不可欠

詐欺罪は立証が難しく、被害に遭ったら必ず回収できるとは限りません(むしろ、元本を一部でも回収できればラッキーで、多くの場合には全額どころか一部も回収できないのが現実であるとの認識を持つべきです)

それでも、少しでも被害金の回収を行えるようにするためには、まずは情報収集が重要です。

具体的には、加害者の氏名、住所、勤務先、振込先口座、被害内容、被害額、契約書、通帳記録、事実経過がわかる文書など投資詐欺の被害回復のためには、より多くの情報が必要です。

 

さらに、被害の発生からあまり時間が経っていないことも大事です。時間が経過しすぎると、その間に被害金は別のところに移されている可能性が高いので、時間との戦いになります。時間の経過については、ケースバイケースなので、一概には言えませんが、プロの詐欺師は入金後、速やかに現金化して所在不明にします。

なので、被害に遭ったと思ったら、即座に警察に連絡して振込先口座を凍結してもらいましょう。口座凍結時に預金が残っていれば、回収可能性が一気に上がります。

暗号資産(仮想通貨)詐欺被害に遭ったら

センターに相談

被害に遭ったら、またはこれは投資詐欺なのか疑問の場合も、相談センターに電話するのがよいしょう。相談センターとしては、金融サービス利用者相談室消費者ホットライン警察相談専用電話などがあります。

 

弁護士に相談

弁護士に相談すると、債権回収の方法は主に交渉訴訟(強制執行も含む)となります。

実際にどの手続になるかはケースバイケースですし、弁護士にもよりますので、相談の際はできるだけ詳細な事実関係に基づいて相談することをお勧めします。

弁護士は被害内容などから、まずは加害者と交渉を試みます。

しかし、投資詐欺師は、足跡残さずに音信不通となることがほとんどです。そのため、交渉による回収は困難を極めます。

 

次に、裁判手続によって回収を図ります。

加害者の氏名住所は分かっているが音信不通であったり、交渉に応じてもらえても加害者が任意で支払いに応じないような場合は、民事訴訟などの裁判手続を行います。

しかし、民事訴訟をする前提として、加害者の氏名住所が判明していないと手続が進みません。プロの詐欺師は痕跡を残すことはありませんので、まずは氏名住所の把握をすることから始まります。

 

さらに、裁判手続を経たとしても、最終的に加害者に財産がなければ全額どころか全く回収できず、費用倒れになるリスクもあります。

 

振り込め詐欺救済法による救済

裁判手続でなくても、振り込め詐欺救済法に基づき、振込先口座に残高があれば、金融機関に申し出ることで一部返金を受け取れる可能性があります。

 

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刑事告訴を通じて回収を試みる

民事ではなく刑事手続で回収できる場合があります。刑事告訴によって、加害者が詐欺罪等で逮捕され、加害者から示談の申し入れがなされる場合があります。このような申し入れがあれば、示談交渉の中である程度の被害金を回収できる可能性があります。

 

ただし、刑事告訴をして捜査機関で受理されたからといって、加害者から示談の申し入れが必ずしもなされるとは限りません。

 

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最後に

仮想通貨であろうと詐欺は決して許されるものではありません。

詐欺被害に遭わないためにも、仮想通貨に関して正しい知識と理解をもつことが重要です。

もし、暗号資産投資詐欺被害に遭われたら、まずはすぐに、警察にご相談ください。

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