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暴行罪で刑事告訴したいとき

暴行罪とは

暴行罪は、暴行行為によって傷害結果が発生しなかった場合に成立する犯罪です。法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料となります。

 

傷害罪の法定刑が15年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので、暴行によって怪我をしてしまった場合、暴行をした相手に対しより重い刑罰を問うことができます。

 

暴行罪が成立するための構成要件

暴行罪が成立するためには、①暴行行為、②相手が怪我をしていないこと、主観的要件として③故意が必要となります。

 

暴行

暴行罪における暴行とは、一般的に、人の身体に向けられた有形力の行使をいいます。

平たく言いますと、相手の胸倉をつかんで突飛ばしたり、殴る蹴るの行為です。

それなら、相手の身体に接触していなければ暴行罪は成立しないと思われるかもしれませんが、判例上、被害者めがけて椅子を投げたが被害者に当たらなかったケース、危険な方法での併走中の自動車への幅寄せ、追い越し、割り込み行為などは暴行に当たると判断されています。

この他にも、音響、光、熱、冷気による作用も暴行に含まれると解されています。つまり、暴行罪の成否を検討するにあたって、身体への接触は不要とされています。

 

古い判例の中には、頭や顔に食塩を数回ふりかける行為、大太鼓を連打して意識もうろうとした気分を与えまたは脳貧血を起こさせ、息が詰まる程度にさせる行為も暴行とされています。また家庭な暴力(DV)も暴行に当たります。

 

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相手がケガをしていないこと

暴行罪は、「人を傷害するに至らなかったとき」に成立しますので、暴行によって人が負傷した場合は傷害罪(刑法204条)、同じく暴行によって死亡させた場合は傷害致死罪(刑法205条)が成立します。

 

故意

相手を意図的に殴る蹴るなどすれば暴行罪における故意が成立します。たまたま肘がぶつかったりした場合は故意がないので、暴行罪とはなりません。

 

暴行被害に遭ったときはどうすればいい?

さて、暴行罪について概要を簡単にご紹介しましたが、いざ自分が暴行の被害にあったときはどうすればいいのかについてご紹介したいと思います。

 

暴行被害の証拠の収集

いくら暴行を受けたと訴えても、具体的にどのような暴行があったのかが客観的にわからないと加害者に刑事責任を問うことが難しくなります。

まずは暴行された様子が映っている防犯カメラや暴行によってできたケガであるとわかる写真、診断書が主な客観的な証拠となり得ます。

道端で絡まれて殴られたというような場合には目撃者がいれば目撃者の連絡先を聞いておくことが非常に重要ですし、目撃者がいない場合にはすぐに警察に連絡し、警察に相談したという記録を作っておいてください。

 

特に暴行によってケガをした場合は、因果関係との観点から、速やかに病院を受診し、診断書をもらっておいたほうがよいでしょう。因果関係を証明することができれば、暴行罪ではなく、より重い傷害罪で刑事責任を問える可能性があります。内出血(アザ)でも傷害になります。

 

被害届・刑事告訴

暴行被害に遭って加害者に刑事責任を負わせたい場合は、警察に被害届または刑事告訴をすることになります。

被害届や刑事告訴をし、警察が加害者を逮捕することになれば、その過程で示談を求められる場合があります。そこで、慰謝料や治療費の請求を行うことも考えられます。

被害届、刑事告訴、刑事事件の示談交渉は専門的な知識が必要とされます。また提出にあたって、警察が受理してくれないこともあります。

 

暴行被害に遭って今後どうしたらよいのかわからず悩まれている方、加害者に暴行の責任を追及したいとお考えの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

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