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おはよう逮捕とは?逮捕される曜日や時間に決まりはある?居留守した場合には?など

逮捕の種類としては、犯罪が行われている最中や犯行後間もないタイミングで逮捕される現行犯逮捕(準現行犯逮捕)、裁判官が発付する逮捕状を示して逮捕する通常逮捕、重大犯罪で逮捕状を請求する時間的余裕がない場合に限り許される緊急逮捕、の3種類があります。

今回ご紹介する、いわゆるおはよう逮捕は、逮捕状を示して逮捕する手続ですので、通常逮捕に分類されます。

 

おはよう逮捕とは?

おはよう逮捕とは、早朝に行われる通常逮捕のことをいい、法律用語でもなければ報道用語でもありません。言うなれば、警察内部での言い方でしょう。

イメージするとその名の由来がわかりますが、早朝(通常午前6時から午前9時頃)に突然家のインターフォンが鳴ります。インターフォン越しで応答したら、「●●警察の者です。」と言われ、玄関ドアを開けたところ、数名の私服刑事がいて、刑事から「おはよう。●●さんだよね?」と言われ、逮捕状を示されて、逮捕されます(実際には、玄関ドアを開けたタイミングでは逮捕状は示されずに捜索差押許可状のみが示され、ガサ入れが行われた後に「警察署に行って話を聞きたい」等と言われ、警察署に行く車内や警察署に着いてから逮捕状を示され手錠を掛けられることも多いです。)。

これがおはよう逮捕の名の由来です。

 

なぜ早朝に逮捕されるの?

一般的に、早朝は家にいることが多い人がほとんどです。

警察からすれば、家に行ったが、不在で逮捕できなかったという事態は起こしたくないものです。そのため、早朝に逮捕することがあります。

 

曜日は決まっている?

おはよう逮捕に曜日の決まりはありません。

ただ、警察は被疑者を逮捕後、被疑者の供述調書やDNAの採取、写真撮影、指紋の採取など様々な手続きが予定されており、かつ逮捕後48時間以内に検察官に送致しなければなりません。そして、土日祝日は警察も検察も、基本的に日直制で少数で対応しています。

こうした事情から、おはよう逮捕は主に週の前半(月曜から水曜)にされることが多いです(ただし、土日の通常逮捕がないわけではありません。あくまで、相対的には土日は比較的安全というだけであり、事例としては土日祝日の通常逮捕もあります。)。

 

おはよう逮捕の前に、警察は事前に下見をしている?

警察内部でおはよう逮捕の執行が予定されている場合は、事前に被疑者の行動パターン、つまり早朝に家にいるかなど、を把握するため、数日から数週間、張り込みをすることがあります。更に、薬物事犯や重大犯罪では、逮捕前にいわゆる尾行(これを警察用語では「行確(こうかく)=行動確認」と言ったりします)をして、アジトの場所やどのような人物と接触しているかなどを確認し、最終的に逮捕日前に自宅に帰宅したことを確認した上で日が昇るのを待って逮捕ということも行われています。

おはよう逮捕の前兆と言えば、こうした張り込みに気付いたり、パトカーではない不審な一般車両が近所に停まっているなどを察知したときのみであって、事前に警察から「明日逮捕しに行くから」という通達はまずありません。また、こうした張り込みを察知することも慣れている方でなければ事実上判別は困難でしょう。

 

居留守を使ったら、逮捕は免れる?

例えば、早朝にインターフォンが鳴ったものの、インターフォンのカメラ越しで外を見たら知らない人がいたため居留守を使うことにしたとします。

その場合でも、警察が家の中に入ってきて逮捕されるでしょうか。

結論から言いますと、捜索差押えを達成するために必要がある限り、鍵(錠前)を外してでも家の中に入ることができます(刑事訴訟法222条1項、111条1項)ので、抵抗して鍵を開けずに家にこもったとしても無駄な抵抗といえます。

したがいまして、居留守を使っても、必要に応じて警察は家の中に入ることができるため、結局見つかれば逮捕される結末になるでしょう。

 

不在だったら?

まず警察がおはよう逮捕するにあたって、行動パターンなどの内定調査をしたにもかかわらず、たまたまその日家を空けていたら、どうでしょうか。

この場合、逮捕状の有効期限は7日間ですので、その日不在であっても翌日には再びおはよう逮捕される可能性はあります。

あるいは、実務上、上記のような空振りの際には刑事から携帯電話に電話がすぐにかかってきて、「お前、今どこにいる?」と尋ねられて逮捕されることもあります。

窓から逃げたら?

罪を犯し、いつ逮捕されるかわからない不安を持ちながら、おはよう逮捕されそうになった際に、思わず窓やベランダから逃げ出そうとした場合、ご想像通り、警察もそれを見越して、捜査員を配置していますので、逮捕されるでしょう。実際、逃げ切ることはまず不可能ですので、逮捕状を持って警察が家に来た段階まで来たら大人しく応じるしかありませんし、令状が出ている以上、その場に弁護士を呼んだとしても逮捕を防ぐことは出来ません。

 

外出中でも逮捕される?

外出中に警察官に発見された場合で、その警察官が逮捕状を持っていなかったとしても、被疑事実の要旨と逮捕状が発せられていることを告げられることで逮捕されることがあります(逮捕状の緊急執行)。通常逮捕するにあたっては、逮捕状を示すのが原則ですが、このようなケースでは例外的な対応として認められています。

 

 

おはよう逮捕で逮捕された後は?

おはよう逮捕であっても、逮捕後の手続は他の逮捕と異なりません。

つまり、逮捕後48時間以内に検察へ送致されて、送致後24時間以内に勾留決定されるか決まります。勾留決定されると、最長で20日間は身柄を拘束されます。その後、起訴されるか不起訴になるかが決まります。

 

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まとめ

今回はおはよう逮捕についてご紹介しました。

おはよう逮捕は前触れもなく突然逮捕されます。事前に警察による内偵調査行われるものの、それを察知することはよほど慣れた方以外は極めて困難でしょう。

逮捕となれば、私生活に大きな影響を及ぼすことになります

おはよう逮捕されそうでご不安でしたら、弁護士に相談することをお勧めします。状況によっては、おはよう逮捕を避ける余地があれば逮捕を避けるための対応を検討することになります。

逮捕を避けるための弁護活動は、できるだけ早くに行うことがポイントとなります。また逮捕された後でも、早期の身柄解放、不起訴処分を得るためには、やはり弁護士による弁護活動が重要となります。

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