COLUMN

コラム

刑事事件で後悔しないために:逮捕時の対応と弁護士の重要性

はじめに

突然、警察に逮捕されるという状況は、誰にとっても想定外の出来事です。

しかし、その瞬間こそが自分の権利を守るために最も重要なタイミングであり、冷静な対応が求められます。
当然のことながら、逮捕された者にも基本的な人権が保障されており、それを正しく理解し活用することで、不当な扱いを防ぎ、最善の結果を目指すことができます。

さらに、このような状況で重要な役割を果たすのが弁護士です。

逮捕直後から適切な弁護活動を受けることで、捜査機関の不当な取調べを防ぎ、早期の身柄解放を目指すことができます。
本コラムでは、「逮捕時に知っておくべき権利」と「刑事弁護の重要性」について詳しく解説し、危機的状況を乗り越えるためにどう対応すべきかをお伝えします。

 

 

逮捕時に知っておくべき権利

逮捕とは

逮捕は、刑事手続において捜査機関が被疑者の身柄を拘束する重大な局面です。
しかし、身柄を拘束されるからといって、まったく権利が認められないわけではありません。逮捕された場合でも、憲法や刑事訴訟法に基づく基本的な権利が保障されています。

では、具体的にどのような権利が保障されているのでしょうか。

 

黙秘権(憲法38条、刑事訴訟法198条2項)

まず最もよく知られているのが黙秘権でしょう。

黙秘権の根拠法令は憲法38条と刑事訴訟法198条2項に定められています。

憲法38条1項は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」、刑事訴訟法198条2項は「前項(198条1項)の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。」とそれぞれ規定されています。

これらの規定から分かるとおり、逮捕された者は、供述を拒否する権利(自己に不利益な証言を強制されない権利)を有します。

実際に黙秘権が問題となった事案では、最高裁判所も強要された供述の証拠能力を否定する判決(例:最判昭和38年3月27日刑集17巻2号104頁)を下しており、黙秘権が刑事手続上どれほど重要視されているかがうかがえます。。

 

弁護人依頼権(憲法34条前段、刑事訴訟法30条1項)

逮捕された者が強い不安を覚える原因の一つに、「取調べにどう対応したら良いか分からない」という点が挙げられます。
そのための権利として、憲法34条や刑事訴訟法30条には弁護人依頼権が規定されています。

憲法34条前段は「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。」、刑事訴訟法30条1項は「被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。」とそれぞれ規定しています。

 

 

不当な身体拘束の禁止

逮捕後の捜査機関の手続きには、厳格な時間制限があります。

刑事訴訟法204条・205条:被疑者が逮捕されてから48時間以内に検察官へ送致し、さらに送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求を行うかどうかを判断しなければならない。

 

これらの手続きを逸脱した身体拘束は違法となります。身体拘束を長引かせないためにも、速やかな保釈請求や準抗告などの手続を検討し、身体拘束からの解放に向けた活動をする必要があります。

 

刑事弁護の重要性

以上のように、被疑者には法律上の権利を有します。しかし、これら権利を有することを知っていても、適切に行使できなければ起訴されてしまう可能性は高くなります。

そこで、重要なのが弁護士による刑事弁護活動です。

弁護士に依頼する具体的なメリットは、例えば、以下のようなメリットがあります。

  • 取調べ対応へのサポート
    • 弁護士がつくことで、取調べ時の供述内容について助言やアドバイスを受けられます。
    • 警察による不当な取調べや違法な誘導を未然に防ぎ、自身の主張を正しく伝えることができます。
  • 早期釈放・保釈請求
    • 勾留中の場合は、勾留理由開示請求や保釈請求を行い、早期に身体拘束から解放されるよう活動します。
    • 特に、身柄を拘束されることは会社をクビになるなど社会的・経済的な影響が大きいため、迅速な対応が求められます。
  • 示談交渉と不起訴処分への影響
    • 被害者がいる事件の場合、示談成立によって不起訴処分が得られる可能性があります。
    • 起訴されたとしても、示談が成立していると量刑面で有利に働く場合があります。
    • 弁護士が間に入ることで交渉がスムーズに進むだけでなく、法律的に有効な示談書を作成することが可能になります。
  • 接見交通権の確保
    • 逮捕直後に一般の方(家族や知人)が面会することは制限される場合がありますが、弁護士であれば時間や場所を問わず接見でき、状況の把握と助言が可能です。
    • こうしたやり取りを早期に行うことで、取調べ方針や今後の対応策を迅速に検討することができます。
 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 留置場での生活はどうなの?差し入れについても解説

♦ 一般の方による面会・差入れには制限があります。

♦ 留置場に、本、食べ物、衣類、現金は差し入れてもいいの?

 

まとめ

逮捕されること自体が一般の方やそのご家族にとっては大変重大な事態ですが、逮捕時こそ、自分の権利を冷静に行使し、弁護士のサポートを受けることで最善の結果を目指すことができます。

適切な刑事弁護があれば、不当な扱いを防ぐと同時に、早期の身柄解放や不起訴処分の獲得も期待できます。
刑事事件でお困りの方は、一刻も当事務所へご相談いただくことをおすすめします。状況に応じて最適な方針を立て、示談交渉や捜査機関への対応をサポートいたします。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 電車内での痴漢行為により逮捕・勾留されたが、早期釈放と示談成立により不起訴処分を得た事例

♦ 不同意わいせつで逮捕・勾留されたが、勾留満期前の示談成立により不起訴処分を得た事例

♦ 準抗告による身柄解放並びに示談成立により不起訴処分を得た事例

♦ 麻薬及び向精神薬取締法違反で勾留中の被告人について、1回目の保釈申請で保釈が認められた事例

♦ 勤務先において、現金などを窃取した事案で、被害者に謝罪文を交付した上で、示談成立により不起訴処分を得た事例

 

コラム一覧