COLUMN

コラム

刑事事件における示談の方法は?自分で示談交渉できる?

刑事事件では、加害者と被害者との示談は大きな意味を持ちます。

加害者からすれば、示談成立により、示談金を支払うとともに、被害届や刑事告訴の取下げをしてもらえたり、民事上の責任を解決することができます。何より、検察官が起訴するか不起訴にするかの終局処分を決定する際に、示談が成立しているかは大きな判断資料になります。

 

刑事事件における示談交渉の流れ

謝罪文と示談金の準備

示談交渉を始める前に、謝罪文を用意してもらうことがあります。示談では、被害者に対して、被害を及ぼしたことに対する真摯な謝罪を尽くす必要がありますので、ケースによっては謝罪文が必要になります。

他方、性犯罪など被害者の被害感情が峻烈な類型の犯罪では、謝罪文を書いても読んでもらえないことが多く、読んでもらえたとしても内容が定型文的な感情のこもっていない文章の場合、逆に被害者感情を悪い方向に刺激してしまうこともあるため、注意が必要です。

また、示談金の支払いについては、刑事事件においては基本的に1回払いが原則です。

分割払いで長期間加害者と関係を持ちたくない被害者の心情を慮れば当然のことですし、検察官の処分との関係でも、当然、検察官は完済までの期間待って考慮してくれるわけではないためです。

 

被害者側への連絡

示談交渉をするためには、まず被害者の連絡先を知る必要があります。

加害者と被害者が知人関係であるなどの場合、被害者の連絡先を知っているでしょうから、加害者が身柄拘束を受けていない在宅事件として進められているのであれば、理屈的には加害者自身で被害者に対して連絡をして示談交渉を開始することはできますが、この方法は推奨できません(実際、警察からも、事件化して加害者の取調べが行われた際に、DV事案や傷害事案など事案の性質によっては「被害者に対しては連絡を絶対にとるな」と言われることがあります。)

警察からのを無視して加害者から被害者に対して直接連絡を取って被害者から警察に報告されると、当該接触行為を理由に証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕される可能性が高まります。

他方、加害者が被害者の連絡先を知らないケース(電車内でたまたま近くで立っていた女性に痴漢をしたケースなど)では、被害者の連絡先は加害者本人に警察から教えられることははまずありません。理由としては、連絡先を教えたことによる二次的被害を防ぐ観点と、万が一そういったことが生じた場合に警察の責任となってしまうため、それを絶対に避けるためだと思われます。

そこで、被害者の連絡先を加害者が知らない場合に、示談交渉を行いたい場合には、弁護士に依頼する必要が出てきます。刑事や検事からも、「示談交渉したいなら自分で弁護士をいついつまでに探してきて、弁護士から連絡してきて。」と言われることもあります(このように捜査機関の側から示談を促された場合、示談すればまず不起訴だよという捜査機関からの暗黙のメッセージであることが多いです。)

弁護人を選任した後の流れとしては、弁護人から担当刑事又は検察官に連絡し、「被害者と示談をする意向があるので、弁護人限りで(つまり加害者には被害者の方の連絡先を教えないことを条件に)、被害者の連絡先を教えてもらうことは可能かを警察官や検察官に問い合わせます。

それを受けた警察官や検察官は、被害者にその旨伝え、被害者が弁護士に連絡先を教えて、連絡を取ってもいいということであれば、弁護士に警察官や検察官経由で被害者の連絡先が教示されます。

 

 

示談交渉の開始から成立

示談交渉では、主に被害弁済(示談金)の支払いを中心に話が進みます。

示談金以外では、被害届や告訴の取下げ民事上の請求は行わないなども示談内容に含むことが多いです。

その他、事件の性質などによっては、接触禁止や口外禁止条項を示談に入れることもあります。

口頭で合意した内容を示談書にして、被害者と記名押印して取り交わします。

その上で、弁護士が事前に加害者から預かっている示談金を被害者の方にお支払いします。

これで示談は成立ということになります。

 

示談交渉は弁護士に任せるべき

以上のように、警察等は加害者本人に対して被害者の連絡先を教えることはまずありません。一方で、弁護士であれば、加害者に教えないことを条件に、被害者の連絡先を知ることができます。

示談交渉を開始する場合、当事者間では感情的になってしまい、示談の話は進みづらいでしょう。しかし、弁護士が間に入って示談を取り交わせば、早々に示談成立まで進むことは多いです。

こうした観点から、示談交渉は弁護士に任せるべきです。

 

【まとめ】示談の締結は弁護士でないと不可能~早めに相談することが大事

以上の通り、加害者自らが示談交渉することは現実的にはあり得ないでしょう。

そのため、被害者に対して真摯な謝罪と被害弁償を尽くすためにも、早めに弁護士にご相談下さい。

当事務所では、早期にご相談・ご依頼いただいたことで、刑事事件化しなかったケースや示談成立により早期釈放と不起訴処分を得たケースなど、刑事事件における示談交渉ないし成立を数多く遂げてきました。

身内が突然逮捕されて、今後の示談交渉含めどのように対応したら良いのかわからなくてお困りの方は、早めに当事務所までご相談ください。

 

 【関連記事】 👇こちらもあわせて読みたい
♦ 突然、家族が逮捕された場合における弁護士の役割の重要性について

♦ 電車内での痴漢行為により逮捕・勾留されたが、早期釈放と示談成立により不起訴処分を得た事例

♦ 店舗内での盗撮がバレたが、早期の示談締結により刑事事件化せずに解決した事例

 

コラム一覧